【646】 55.10前後の関西本線の普通貨物列車3

関西本線の貨物列車の話を続けます。 当時の画像がありませんので、近年になって撮影した画像で昭和の国鉄時代を想像していただくしかありませんが、ご了承ください。 始発駅亀山操を発車した関西上り普通貨物列車の次の入換駅は加佐登でした。 今は無人駅で、貨物の取扱はありません。このころの加佐登駅では駅裏に隣接するコンクリート柱を扱う工場から長物車や無蓋車で製品が鉄道輸送されており、その関係の貨物の比率が多かったようでした。 現在は舗装されていますが、国鉄時代にはここに側線がありました。 この駅からは、ホンダの二輪車の出荷もあったということですが、私が乗務しているころは廃止された後でした。 この駅でよくある作業が2つありました。 そのうちの一つが構内整理でした。 亀山で、予報の電話を入れると、加佐登駅では「構内整理があるよってに頼んます。」と言われることがありました。 その列車への連結や解放をするついでに、その列車に直接関係のない留置貨車の転線入換をさせられるわけで、たとえば下り側の側線に留置してある貨車を上り側の側線に移動する作業を併せて行うのでした。 いつものように290列車を例とします。 これは、その構内整理を含んだその日の入換通告券です。 直接この列車に関係する入換作業は、上り本線に着いた列車から加佐登で解放する2車だけで、連結車はなしという状況です。 単に切り離すだけの作業なら、上り本線へ7車引上げ、下り3番線に2車突放すれば、そのまま残留している編成に本連…

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【645】 旧国鉄線の完乗

国鉄が分割民営化されて、まもなく30年になろうとしています。そういうなかで、今年9月に、「くま川鉄道」に乗車することにとって、「現在乗れる状態の」旧国鉄線について完乗になりました。 国鉄がなくなって30年も経とうというのに、なにも大きな声で言うべきことでもありませんが、20年くらい前から、いつかはと思っていたことが完結しました。 全国に網の目のように張り巡らされた鉄道に、どこまで乗ることで完結とするかは、人それぞれ基準が違いますが、私の場合はユルい基準を設けていました。なにより、私は国鉄在職中には、意識して未乗線区に乗りに行くことがほとんどありませんでしたから、国鉄在職中に「乗るだけの目的」で訪れた国鉄線は、人に誘われて行った越美南線・越美北線・小海線・名松線・樽見線・信楽線くらいだったしょうか。 画像は、そのときの伊勢奥津駅。 そのほかは、移動のためと乗務で乗った線区ばかりで、乗り鉄に積極的ではありませんでした。それは仕事で列車に乗っている反動だったのかもしれません。そのころ出かけるときの移動手段にしても、鉄道より自家用車が中心になっていたのです。 それが変わったのは、国鉄退職後でした。転職したその年は転居も伴い、精神的余裕がなかっただけでなく、鉄道に乗りたいと思う気持ちは失せたままでしたが、その年が明けると、JR東海の旅客営業区間くらいは全線に乗っておこうと思うようになりました。 転職先では、鉄道に乗って出張に出ることはきわめて稀で、日帰り出張は社用車をよく運転していました…

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【644】 55.10前後の関西本線の普通貨物列車2

関西本線の貨物列車の話を続けます。 仮眠先の亀山の乗務員宿泊所を出て、役目を終えたDF50が留置してある機関区構内を通って亀山操まで歩き、稲沢行普通貨物列車の乗務に向かいます。 着発線に組成してある列車の前部緩急車(前緩 ゼンカン)に乗り込みますが、着発線に複数の似たような車両列が並んでいるので、着発線をうっかり間違えるととんでもないことになります。そんな間違いはしなくてもダイヤが乱れていたりして、前の列車が居座っていたりすることだって、ないとは限らないので、気を付けなければなりません。この時点では、まだ機関車が連結されていないことがほとんどです。 (画像は亀山操で発車待ちしている貨物列車です。) 中間駅で解結をする貨物列車では、入換に伴う作業が前部に集中しますから、貨車組成方によって、前緩を連結することが指定されており、列車掛はそこに乗務し、後部緩急車(後部緩 ゴブカン)には乗務しませんでした。 列車掛は車掌業務のほかに車両検査業務をします。鉄道を趣味とされる方ですと、「全般検査」「交番検査」などという言葉は聞いたことがおありかもしれません。私は検査畑の人間ではないので、その内容の詳細を知るわけではありませんが、列車掛養成期間中に習ったことの受け売りでご説明すると、貨車の検査種別には、当時の規定で乗務検査・「仕業検査」・運転検査・「交番検査」・「交番検査(指定取替)」・「全般検査」・臨時検査と、7種類もありました。「」を付した検査は定期検査として所定の周期で行う検査でした。…

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【643】 中央西線を走った車両9 :381系電車(4)

今年はJR西日本の381系に大きな動きがありました。 「しなの号」に続いて投入された紀勢本線の「くろしお」から381系が撤退し、このほかにも、北近畿地区の特急に転用されていた運用も全廃となり、381系で残る特急は伯備線の「やくも号」だけになってしまいました。 中央西線で走った381系電車による列車は「しなの号」に代表されるわけですが、国鉄時代にも日根野区の381系が高速試験のため入線したことがありました。 試験は神領電車区を基地にして行われ、鉄道ファン誌(1986年4月号)及び鉄道ピクトリアル誌(1989年9月号)によると1985年11月14日~12月13日にわたって、湖西線(安曇川~永原)と中央西線(高蔵寺~坂下)で、試験用の制御付振り子装置や操舵性台車・パンタグラフ・主電動機に換装して実施されたとあります。 通過する名シン「しなの」と天ヒネ試験編成(中央本線坂下) 画像は1985年12月12日撮影 この一連の高速試験で381系電車は、湖西線安曇川~永原間において在来線の日本最高速度179.5 km/h を達成しています。 このほか、JR西日本の381系は分割民営化後の中央西線には臨時列車・団体列車で入線しています。 一方で、JR東海の381系も、後継383系の就役後には特急しなの以外に使用される機会が増えて、国鉄時代には入らなかった線区にも足跡を残すとともに、中央西線系統では、急行「つがいけ」やスキー列車「シュプールつがいけ」、臨時化された急行「ちく…

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【642】 55.10前後の関西本線の普通貨物列車1

私が国鉄で貨物列車に列車掛の職名で乗務していたのは1979年~1981年の約1年半たらずの期間でした。列車掛とは車掌業務に車両検査業務も併せ持つ職種でした。詳しくは【3】貨物列車をご覧ください。 列車掛は上の画像の下側に写っているワッペンを腕章の位置に着用していましたが、のちにその上側に写っている緑色のプレートを胸の位置に着用することに変更されました。規模が小さい車掌区ですと車掌と兼務で「車掌兼列車掛」の職名を与えられ、旅客列車乗務の時には赤い車掌腕章を着用して乗務しましたが、私が配属された車掌区は貨物列車と一部の荷物電車を専門に担当する車掌区でしたから、赤い腕章は貸与されませんでした。まずは列車掛として貨物列車に乗務して、列車運転に関する業務全般に精通させてから希望する旅客担当車掌区に送り込むための人材養成区という側面も持った職場なのでした。 そのころ、国鉄の貨物輸送は、他の交通機関にかなり侵蝕され、その対応策としてコンテナ化や直行輸送方式に移行しつつある時期でした。そのためヤードを介する旧来の車扱貨物は減少著しく、東海道本線で乗務する貨物列車は、高速貨や直行貨と、専用貨車を連ねた専貨の割合が多く、途中駅で入換作業に関わることはあまりありませんでした。しかし、関西本線名古屋口では、中間駅での入換がないセメントや石油類の専用列車もありましたが、貨車の連結解放を繰り返す旧来の貨物列車も多く設定されていました。小駅には操車担当の運転係が配置されておらず、そういう駅では列車掛が入換作業を担当…

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【641】 中央西線を走った車両8 :381系電車(3)

中央西線の381系は、国鉄時代には一時期7両に減車された時期を除き、基本的には9両で運転されました。分割民営化後に、現有車両を増備することなく増発をするとともに、季節波動による乗客数の増減に対応するため、国鉄最末期からグリーン車サロに運転台ユニットを取り付けるクロ化改造が開始され、JR東海移籍後には一部のクハ381も座席交換によってクロ化して、6両編成が基本編成となりました。新たに増結用4両ユニットが登場したほか、6両基本編成を3両ずつに分割して増結する9両編成も多く見られました。 短編成化の結果、1988年(昭和63年)3月のダイヤ改正で、しなの号は6往復増の16往復(季節列車を含み、松本止もできた。)になり、列車本数の上では絶頂期となりました。また、時間短縮も行われ、その翌年1989年(平成元年)3月のダイヤ改正から、明科~西条間が新線に付け替えられたことによって名古屋~長野間で3時間を切る列車も登場したのでした。 6両化後は、増結によって乗客の需要に応じて効率よく使用されたと言えばそのとおりでしたが、その時点では経年15年を超える車両が大多数で、苛酷な運用だったのだろうと想像します。 上の例は4両ユニットを増結した10両編成です。 増結編成では中間に運転室が挟まれることになるため、のちにサロ381改造のクロ381 0番台は、貫通幌を取り付けた状態で運用されるようになりました。 国鉄時代に話は戻りますが、国鉄最末期の年末年始に一部のしなの号が12両で運転されたことがありました。1…

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【640】 思い出の乗務列車62:関西本線290列車(八田駅の入換)

先週、貨車解結通知書の内容と拾い出した編成を照合してみた関西本線290列車は、亀山操を発車したときには 「実現車16 延長現車20.6 換算40.1」 でした。 しかし月曜日の午前中という、いちばん連結車が少ない条件の下であったため、八田到着時まで1車の連結もなくて解放車ばかりで、仕事上ではたいへん楽をする結果となりました。八田到着時にはこのような短い編成になってしまい、ここでもまた1車の解放がありました。 1980年(昭和55年)9月29日 関西本線290列車 亀山操7:16~稲沢12:56 (八田到着時点編成)  DD51 822 (稲一)   ヨ  8507 (金トソ)     延1.0 換1.0―   ワラ 13847  宇 野~八 田  延1.0 換2.0積  ハワム 80745  鵜 殿~白 鳥  延1.2 換2.2積   ワキ  6128  鵜 殿~品 川  延2.0 換4.5積   ワキ  5716  鵜 殿~品 川  延2.0 換4.5積   ワキ  5750  鵜 殿~品 川  延2.0 換4.5積   ワフ 35306 (新ナソ)     延1.0 換1.2―  ――――――――――――――――――――――――――――――  実現車7          延長現車10.2 換算19.9  この日唯一の連結車両があった八田駅ですが、ここでの連結車は9車もありました。そのうち3車は次駅の笹島で解放されます。その連結車両の内訳は…

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【639】 中央西線を走った車両7 :381系電車(2)

今回は、国鉄末期の神領区381系を振り返ってみます。 画像は、まだ国鉄末期とは言えないころ、野尻駅で急行「きそ」165系(先頭はクハ164)と行き違う381系しなの号です。中央西線での名古屋発着昼行定期急行列車が「赤倉」だけになったのが57.11ダイヤ改正で、その「赤倉」と夜行で残っていた「きそ」とが60.3ダイヤ改正で廃止され、その時点で「しなの」は「特別急行」ではなく、ただの「特急」という種別の速達列車になったと言ってよいでしょう。特急の格も落ちたものだと思ったものですが、そのころの国鉄では、多くの列車で食堂車が廃止になったり、編成そのものが短縮されたり、急行はL特急化、又は快速・普通列車化されていったことを考えれば、特急を名乗ってはいるものの、昔日の特別急行列車とは異なってすっかり大衆化していましたから、明らかに格が落ちていたのでした。言い方がよくなければ、地方線区までも特急網が形成され、大変便利になったというべきかもしれません。 (画像はリニア鉄道館のクハ381-1) それと同時に、前回お話したように、定期列車において閑散期には、計画的に編成を短縮することによって無駄を減らし経費を抑えるといった施策が取られるようになり、次第に国鉄分割民営化の具体的な姿が見えてくると、国鉄内部では資産と人材を使いまわして、とにかく増収を図るんだという空気が上層部から私どもの現場にも伝わってきました。赤字のイメージが定着し、悪者とされていた国鉄を民営鉄道会社とする以上、「利益を生み出す会社にしな…

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【638】 貨車解結通知書の記載事項と編成を照合してみた

これまで何度か、自分が乗務した貨物列車の編成の車両形式番号や発着駅をアップしてきましたが、その積空別や積荷については記録を取ってこなかったために、不明のままとなっています。先週の記事で、昭和55年9月29日の関西本線亀山操発行の290列車の貨車解結通知書を最初にアップしましたが、その日に連結されていた車両の形式番号や発着駅を記録してあります。それをNゲージで再現すると下の画像のようになります。 この日の貨車解結通知書から、積空別だけでも特定できないものかと思い、眺めたところ、ほぼ特定できました。 もう一度、昭和55年9月29日の関西本線290列車の貨車解結通知書をご覧いただきます。 (元画像は内容がわかる程度の大きさにしてあります。) ざっと見ていきますと、この日は亀山を発車すると「加佐登で2車解放、南四日市で2車解放、四日市では解結がなく(この列車は四日市は解結禁止列車)、富田で2車解放、桑名で3車解放、弥富では解結がなく、八田で1車解放して9車連結し、その連結車のうち3車は次の笹島で解放」という作業があることが読み取れます。 この日は月曜日で、この列車は朝の発車でしたので、前日が日曜日のためほとんどの駅で積込作業がされておらず滞貨もなかったので発送車両がなかったものと思われ、八田以外の中間駅から亀山操(組成駅)に発送車の連結予約がなかった例です。しかし、臨時に連結をしたいという駅からの要請があれば、その列車の組成方の範囲内であれば追加で列車掛としては連結してあげなければな…

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