【808】 変な忘れ物

列車の中での忘れ物は多いわけですが、宮脇俊三さんは、生前、国鉄時代の東京駅を取材され「東京駅 素顔の24時間」(著書 終着駅は始発駅に収録)という短編を書いておられます。その中から引用させていただくと、東京駅へ取材に行った折の「お忘れ物承り所」で、「なかに入ると、無いものは無いといってよいほど何でもある。人間とはこんなに何でも忘れることができるのかと感心してしまう。」という感想をお持ちになったようです。 私たちも、テレビ番組で、どうしてこんなものが?と思うような忘れ物が紹介されるのを知って驚いたりもします。私も車掌在職中に変な忘れ物に出会ったことがあります。 (以下の画像はJR東海になってから撮影したもので、当日の撮影ではありません。) 国鉄時代のある日、乗務していた東海道本線下りで、大垣から支線に直通する美濃赤坂行。 終点美濃赤坂に着くと無人になった最前部車両の進行左側の荷棚に縦横各30㎝、高さ15㎝くらいの無地の段ボール箱が1個載っているのを見つけました。 途中駅で降りた乗客の忘れ物のようでした。先々月に「【787】美濃赤坂線」の最後のほうで書いたように、終点の美濃赤坂駅は、旅客営業上は無人駅でした。列車はすぐ折り返して大垣行になりますから、忘れ物も折り返して大垣駅に引き継ぐことになります。 その箱は持つととても軽く、何も入っていないようにも感じましたが、粘着テープでしっかりと封がされ、側面にはキリか千枚通しが開けたと思われる小さい穴がたくさん開けられていました。 その様子か…

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