【848】 車内補充券は魔法の切符
冒頭の画像は、使用済として発行された車内補充券です。もう使えませんよとお客様に対して明確な表現です。視点を変えると、この乗車券は北陸本線下り方向行なのに、上りの特急列車で発行されたものであることが列車番号からわかります。車内補充券は50枚の冊になっていて控片が車掌側に残りますので、控片を見れば乗務行路の時間的経過と発行した乗車券の発着駅が連動します。上り方面行きで発行された控片のなかに1枚だけ下りの片道乗車券が発行されていれば不自然で、あとで審査する部署の担当者が不審に思いますが、「使用済」と書いてあれば、「ああ、無札で野々市から乗って、金沢で折り返しそのまま上りの特急に乗ったお客様からの申告だったのだな」と想像がつきます。
車内ではどんな申告があるかわかりませんから、事前印刷された1つの様式でありながら、車内で起こりうるケースに可能な限りの事例に対応できる車内補充券は、魔法の切符と言ってもいいと思います。企画乗車券のような切符を除けば、これ1枚で片道・往復・連続乗車券・特急券・急行券・グリーン券・寝台券のほか、区間変更、指定席変更、種類変更は言うに及ばず、不正乗車の増運賃の精算も可能でした。ほかには、
間違って小児用の乗車券の買った時の精算
私鉄からの連絡乗車券の区間変更
誤って乗継割引として発行された特急券の精算
運賃を誤って発行された乗車券の精算
自由席グリーン車が満員で着席できなかった時の不使用証としての発行
複数人に1枚で発行された乗車券の分割
往復割引が適用されなくなる…