【848】 車内補充券は魔法の切符

冒頭の画像は、使用済として発行された車内補充券です。もう使えませんよとお客様に対して明確な表現です。視点を変えると、この乗車券は北陸本線下り方向行なのに、上りの特急列車で発行されたものであることが列車番号からわかります。車内補充券は50枚の冊になっていて控片が車掌側に残りますので、控片を見れば乗務行路の時間的経過と発行した乗車券の発着駅が連動します。上り方面行きで発行された控片のなかに1枚だけ下りの片道乗車券が発行されていれば不自然で、あとで審査する部署の担当者が不審に思いますが、「使用済」と書いてあれば、「ああ、無札で野々市から乗って、金沢で折り返しそのまま上りの特急に乗ったお客様からの申告だったのだな」と想像がつきます。 車内ではどんな申告があるかわかりませんから、事前印刷された1つの様式でありながら、車内で起こりうるケースに可能な限りの事例に対応できる車内補充券は、魔法の切符と言ってもいいと思います。企画乗車券のような切符を除けば、これ1枚で片道・往復・連続乗車券・特急券・急行券・グリーン券・寝台券のほか、区間変更、指定席変更、種類変更は言うに及ばず、不正乗車の増運賃の精算も可能でした。ほかには、 間違って小児用の乗車券の買った時の精算 私鉄からの連絡乗車券の区間変更 誤って乗継割引として発行された特急券の精算 運賃を誤って発行された乗車券の精算 自由席グリーン車が満員で着席できなかった時の不使用証としての発行 複数人に1枚で発行された乗車券の分割 往復割引が適用されなくなる…

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【847】 スチール棚の小レイアウト開業まで:2

倉庫用スチール棚に置いたNゲージの小レイアウトが完成するまでのことを連載しています。 スチール棚には側壁がありませんから、ホコリ対策が不可欠です。上の画像でもわかると思いますが、既設の車両展示スペース正面には透明アクリル板を引き違い開閉式にして使用しています。建設予定のレイアウトも同じ透明アクリル板を新規購入予定としました。正面はそうなりますが、向かって左側面と背面は段ボール紙(不要な段ボール箱を解体したもの)で覆いました。右側面は、すぐ脇が部屋の窓際になるので、余っていた透明アクリル板(以前に他の用途のためにホームセンターで購入して切り出した残り)を使用し、自然採光に配慮しました。 段ボール紙を使った左側面と背面には背景画を描きました。直接段ボールに描くのではなく、失敗しても描きなおしでき、気が向けば背景を容易に交換できるように、古いカレンダーを4枚つなげて、その裏面に背景画を描いて貼ることにしました。画材はトールペイント用のアクリル絵の具です。アクリル絵の具との出会いについては「【501】キモイおっさん(~o~)の?トールペイント?」で書いています。乾燥すれば耐水性があるので利用価値は高く、背景画だけでなくレイアウト本体の地面のほぼすべての彩色に使用しました。この絵の具は十数年前に買った残りで、今回、不足して買い増した絵の具はグリーン1本だけでした。 これをすでに棚に取り付けてある段ボール紙の上から覆うように貼りました。 山間部のローカル線という設定ですので、背景画は山が中…

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【846】 釣銭と概算収受

車掌は車内で乗車券類を発行する関係上、運賃早見表、営業キロ早見表と車内補充券の冊などを持ち歩きます。 車内巡回中には、左手に運賃早見表、営業キロ早見表と車内補充券の冊を持ち、売上金の紙幣はその2つの早見表にまたがって掛けた表紙カバーの裏側にはさんでいました。硬貨は画像にあるような小銭入れも使いましたが、左手がふさがっていますから、右手だけで釣銭を素早く出せるように、10円硬貨と50円硬貨を上着のポケットに、100円硬貨をズボンのポケットというように裸銭のまま分けて入れていました。50円硬貨は穴があるので、ポケットの中に手を突っ込んで硬貨に触れた指の感触で他の硬貨と区別がつきますが、10円と100円は上着とズボンのポケットに分けておかないと、感触だけでは区別がつきません。けれど、上着を着用しなくてもよい夏場には上着のポケットが使えないので、ズボンの尻側のポケットを使ったこともありました。なお、私が車掌になったときには、まだ500円は紙幣しか発行されていない時代でした。それでも500円硬貨が普及するにつれて、500円紙幣をお客さんから受け取ることが急激に少なくなっていきましたが、500円硬貨は大きさでわかるので、100円硬貨に混ぜていました。 (上は再掲画像ですが「車内補充券」です。さまざまな乗車券類をこれ1枚で発行可能な様式になっていました。) 乗務するにあたり、あらかじめ準備しておく釣銭は自前でした。私の場合は、常に10,000円を用意し、このうち紙幣の内訳は5000円札1枚…

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【845】 スチール棚の小レイアウト開業まで:1

昨年、【822】スチール棚の小レイアウト開業で書いたのですが、自分の部屋(というより事実上は物置に近い)に設置した倉庫用スチール棚にNゲージの小レイアウトを建設し開業しました。 画像に写っている一番下の部分がそれで、実際には6段あるスチール棚の下から3段目になります。その下2段には、上と同じように段ボール箱が詰まっています。小レイアウトのすぐ上の段(画像中央)は、既設の模型展示スペースになっています。 このスチール棚がある場所には、以前「棺桶レイアウト」と称するNゲージレイアウトがありました。その「棺桶レイアウト」は、ただでさえ狭い部屋に1畳分(幅1800mm奥行900mm)のスペースを占領しておりましたが、新しいスチール製の棚(幅1800mm奥行450mm6段式)は、その半分のスペースに収まるばかりか、6段式ですから、それまで実家に保管してあった私の所有物を、ここに収納することが可能となったわけです。空き家になった実家はもう今はありませんが、もとより引き払う予定にしていたので、何としても、この部屋に収納スペースが必要になったという事情もありました。そこで5年ほど前に「棺桶レイアウト」は別の部屋に移動させたうえで、壁に立て掛けた状態にして、その跡地に新しいスチール製の棚を置いたという経緯です。詳細は “【497】わが家の「棺桶?レイアウト」その後”で書いています。 当初、このスチール棚は全部段ボール箱でふさがっていただけでなく、部屋中が物であふれ、自分が寝る場所を確保するのも困難といった…

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【844】 割引切符

上の画像は、自分で購入、使用した乗車券です。そのころ私は名古屋鉄道管理局と静岡鉄道管理局管内有効の職務乗車証を交付されていたので、同じ国鉄線であっても、乗車証の区間外については乗車券を購入しなければなりませんでした。そこで別に支給される職員用割引券を使って、名古屋鉄道管理局と長野鉄道管理局の境界駅であった中央西線の坂下から東京南鉄道管理局と静岡鉄道管理局の境界駅であった函南駅までの乗車券を買ったということで、つまり、中央西線・中央東線・東海道本線をぐるりと一周してきたわけです。目的地は東京で、安産祈願のため水天宮へ参詣したときのものです。 割引券には種類がいくつかありました。 手前から、職員本人用、家族用、永年勤続者用です。それぞれ、在職年数などで発行枚数に基準が設けてあり、このころはすでに、こうした乗車証や割引制度は国民の理解を得られないとして、適用範囲や交付枚数がかなり縮小されたあとでした。それ以前は「運賃料金割引証」という名称でした。 画像では見難いですが、割引証には〇に「職」の字が書かれていて、乗車券類にも同じようなゴム印が捺されて「マルショク」と呼ばれました。再掲画像ですが、自分が使用した切符です。 このような職員割引をはじめ、学生割引、身体障害者割引など割引証を必要とする割引乗車券類は、旅行開始前に発売するものであって、原則として旅行開始後に車掌が車内で割引乗車券を発行することはありません。しかし、無人駅から乗車される場合は除かれていたので、車掌も割引の乗車券類を発…

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【843】 「犬のフン…の看板」その後(2)

戌年のお正月にふさわしいかどうかは別にして、公園などによくある「犬のフンの始末」を促す看板について、思ったことなどを書いております。今回は前回のような再掲画像との比較ではなく、これまで紹介したことがない新しく発見したデザインの看板を集めました。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 左から、愛知県瀬戸市・岐阜県多治見市・滋賀県高島市で撮影。 一見「公園」と「まち」の文字が違うだけの同じ看板のように思えますが、高島市のものだけは、よく見ると描かれた木製看板の左右の板の表現がデコボコに表現してあることがわかり、これはたぶん製作時期の違いによるものだと思われます。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 愛知県瀬戸市と岐阜県多治見市の例。これは設置者以外まったく同じのようです。「ふん」という犬のセリフと表情に、見る者に訴えかけてくるものを感じます。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 左は福井県敦賀市・右は長野県下伊那郡下條村の例です。 まったく違うデザインの看板ですが、人相でなく犬相はまったく同じです。 敦賀では、この犬は「私のフン後始末して持ち帰って」と飼い主に訴えかけていて、湯気が出ているフンを自らの右側にそのまま放置しています。ところが下条ではまったく同じ姿勢のまま左前足で自分のフンが入っていると思われるフクロをしっかりと握りしめているではありませんか。とても同じ犬とは思えない進化が見られます!? …

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【842】 切符を失くしたとき

「【806】車内の遺失物」そして「【808】変な忘れ物」と、昨年2週続けて忘れ物の話をしてきましたが、旅行中大切な切符をなくしてしまうことも、ときにはありますね。私は、東京都内のどこかで、名古屋市内着の乗車券を落としたのが最高額の切符紛失事例で、このときは結局発見に至りませんでした。 切符を紛失したときには、どうしたらよいかということは、時刻表の営業案内のページに書いてあります。要するに紛失したのと同じ切符を買い直し「紛失再」の表示がある切符を発行してもらいます。下車駅ではその切符は改札で渡してしまわずに、その切符に「再収受証明」を受けて持ち帰れと言う意味のことが書かれています。1年以内に紛失した切符が発見されたら、再収受証明がされた切符と一緒に駅に持っていけば、手数料を差し引いて払い戻しを受けられるという取り扱いです。ただし定期券や回数券のほか多くの割引切符では、その取扱は適用されません。正規運賃より安くなっているから、そこまでの面倒は見ませんよということなのでしょうか。私の場合は、長距離に乗車する場合、金券ショップの切符や企画切符を買って乗ることが多く、まともな運賃で乗ることが少ないので、あまり関係がないのですが、それでも高額な切符や、変わった切符を購入したら、撮影しておき券面事項が特定(確認)できるようにしています。もっとも主目的は、自分が使った切符の収集に代わるもので、画像で保存しようというだけのことです。 当然ですが、車掌が切符を紛失されたお客さんに新たな乗車券を車内で発行するケ…

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【841】 「犬のフン…の看板」その後(1)

戌年のお正月にふさわしいかどうかは別にして、公園などによくある「犬のフンの始末」を促す看板について、以前 【529】 犬のフン…の看板あれこれ で、「鈴鹿支局特派員」様からご提供いただいた画像とコメントをもとに、私の行動範囲内で似たような看板の実地調査?を実施して比較してみる企画をやりました。あれから3年以上も経ち、実地調査の範囲を拡大したところ、新たな発見などもありましたので、2回に分けて紹介させていただきます。 1回目は、【529】 犬のフン…の看板あれこれでアップした同じ「犬」たちの新たな生息地発見についてのレポートです。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 左は、以前にアップした長野県塩尻市の「脱糞禁止」看板ですが、あらたに滋賀県高島市にも同じ犬が生息していることを発見しました。(右) 設置者が異なる以外はまったく同じ看板のようです。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 「恥ずかし犬」看板は、けっこう各地にありました。以前には愛知県春日井市の画像を貼りましたが、そのほかに愛知県蒲郡市・福井県敦賀市・愛知県刈谷市で目撃。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 同じ「恥ずかし犬」の別ヴァージョンは、新たに愛知県犬山市で発見(画像の右)しました。以前アップした愛知県春日井市(左)と三重県鈴鹿市(中)の画像と並べてみましたところ、この3枚は似て非なるもので、 1 春日井市は「みんなでまちをきれいに」と…

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【840】 2018年 あけましておめでとうございます(^o^)丿

(平成30年なので、キハ30…国鉄伊勢線時代の玉垣駅で) 謹んで新年のお祝いを申し上げます。 昨年は何かとお世話になりまして、ありがとうございました。 おかげさまで良き新年を迎えることができました。 本年も昨年同様よろしくお願い申し上げます。 皆様のご健康とご多幸を心よりお祈りいたします。                平成三十年 元旦         ブログ管理人 しなの7号 ◆+。・゚*:。+◆+。・゚*:。+◆+。・゚*:。+◆+。・゚*:。+◆+。・゚*:。+◆ <<本年の当面の予定>> 昨年の年始に「国鉄分割民営化から30年の節目の年になる今年中に完結させて、拙ブログの定期運行を卒業したいと思っています。」という目標を掲げましたが、達成できないまま新年を迎えてしまいました。11年の乗務員生活のことを7年半もかかって書いてきましたから、同じようなことを繰り返し書いたように思いますが、とりとめなくだらだら同じような内容でブログを続けるようなことはしたくありません。身の回りに何もなければ、これまでどおり毎週月・木曜更新のサイクルを続けて、そのペースで行けば今度こそ、あと1年間くらいでゴールは見えてくるだろうと思います。そして遅くても来年初め頃には一応の完結までたどり着けないかなと考えています。一定の完結までたどり着いたら、このブログは不定期または1ヵ月に1度程度の更新頻度にしたいと思っております。画像に意味はあ…

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