【856】 車補のこと・腕時計のこと

先週は、乗客扱いの専務車掌は司法巡査に指定されたというお話をしました。司法巡査の証やバッジを紛失したら厄介なことになると書きましたが、毎日違った列車が職場になるのが乗務員ですから、このほかにも、乗務中には大切なものをいくつも身に付けなければなりませんでした。 紛失すると始末書では済まず厄介なことになるのは、車内補充券の類もそうでした。 (画像は私が旅行に行ったときに購入した他車掌区発行のものです。) 乗車券類は有価証券ですから、紛失したらただでは済まないことは当然です。以前にも書いたように車内補充券は魔法の切符です。どんな切符にも化けますから、拾得した人が書き方さえ知っていれば使い道は幅広いです。車内補充券の領収額欄の桁数は6ケタあり、一冊で50枚の切符が、複写の控片とともに綴じてありました。と、いうことは、1枚で999,999円までの切符が書けてしまいますから、未使用の1冊を紛失すると、最悪5000万円近くの払い戻しも可能というわけです。そんな金額で払い戻されることはないにしても、悪用される可能性は大いにありますから、出先宿泊先の車掌区で到着点呼をするときに、そこで売上の現金とともに車内補充券も貴重品袋に入れ、錠前で鎖錠のうえで翌日まで預かってもらうこともありました。 私どもの車掌区では車掌1人に車内補充券一冊ずつを専用で渡され、残りが少なくなると未使用の1冊を新たに持たされたので、2冊持ち歩くこともありました。発行枚数が多い行路のときには、そうでなくとも初めから複数冊の車内…

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【855】 スチール棚の小レイアウト完成画像1

これまで、スチール棚のレイアウトの計画から完成までの足取りを書いてきましたが、完成したレイアウトで撮影した画像を並べてみました。また、背景画に使用した山々をバックに走る中央西線の列車の画像も併せて掲載しました。 レイアウト上の駅や町並みは架空のものですが、以前にも書いたように、背景画は私の実家があった付近から見えた山々をモデルにデフォルメをして描いています。 家並みは架空の「茄子川駅」への道沿いにある商店街。遠くに見える雪山は御嶽山(3063m)、その右には 双耳峰の二ツ森山(1214m) 実際に冬~春の好天時には、中央西線の恵那~美乃坂本間の車内からも、雪化粧の御嶽山が眺められます。 そして、奥行きのないレイアウトでの苦肉の策として、貼り付けて表現した駅前付近の家並み。背景画に家屋模型の画像を切り抜いたもの。神社は、この数年間、私が実家へ帰るたびに立ち寄っていた「トトロの森」をイメージしています。 wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 背景画はレイアウトの左側面まで回り込んでいます。その側面部分には、笠置山(1128m)を描いています。C12が牽く列車が走っているのは、外周エンドレスの本線から茄子川駅に分岐した線路です。対向のDD16が牽く列車が停止しているのは本線(通過線)です。 笠置山は中央西線の恵那~美乃坂本~中津川の辺りから見える山です。 wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 上の画像の建物は酒…

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【854】「鉄道公安職員」と「鉄道司法警察職員」

先週の記事「【852】緊急停車@揖斐川橋梁」の例では、一般公衆が鉄道用地内への立入って列車の運行を妨害したとして、その者に任意同行を求め駅に引き継いだことになるわけですが、現在だとどんな手順で事が進むのでしょうか? 現行の取り扱いマニュアルどころか法律を知らないので、なんとも申せませんが、素人なりに考えると、まず一般公衆の軌道内立入事実がある以上、防護無線を使用して、他列車も緊急停止手配により停車させることになるでしょう。無線で列車指令に連絡。最寄りの駅員がすぐに来られる距離でもありませんから、列車指令から管轄の警察署へ110番通報し、その場で警察官に引き継いでから運転再開することになりましょう。 (画像はただのイメージです。) その場合、現場で必要があれば現場検証・事情聴取後、オッサンと警察官が敷地外に出てからしか運転再開できないと思われますので、短く見積もっても数十分にわたって東海道本線がストップすることでしょうし、いらない心配ですが、列車遅延に伴うオッサンへの損害賠償額も相当なものになるでしょう。先週ご紹介した例ではわずか7分の停車でしたから、せいぜい後続の1~2本の列車に影響したくらいだったでしょう。 ところで、国鉄では大きな駅に鉄道公安室があり、そこには「鉄道公安職員」がおりました。一般には鉄道公安官の通称で知られ、鉄道敷地内の警備や列車の警乗をしてました。彼らは警察官ではなく国鉄職員であって、私が勤務した車掌区からも鉄道公安職員に転進した者がいました。 下の画像は、左…

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【853】 スチール棚の小レイアウト開業まで:5

倉庫用スチール棚に置いたNゲージの小レイアウトが完成するまでのことを連載しています。 形としては大部分完成しましたので、細かいところに手を入れていきます。 樹木を植え、草の表現はパウダー、土手部分はKATOのフォーリッジクラスター(スポンジを崩したようなもの)をむしって貼り付けたりしてそれらしくしました。これらは全部手持ちの残りで、新規に購入したものはありません。これまでの経過からもお判りのように、どうしても必要なものだけを最小限買いたすうようにして節約しました。電柱にも経費をかけたくないので、100均で竹製の長い爪楊枝(短い竹串?)を買って加工しました。 過去の経験から、電柱はレイアウトのメンテナンスをするうえではたいへん邪魔くさい存在で、プラ製既製品を折ってしまったことは数知れず。ですから電柱はないのがいちばんよいのですが、街ナカでの電柱の存在は景観上の生活感を醸し出してくれますし、鉄道用の電柱は、車両の存在感を引き立たせてくれます。これまで造ったレイアウトでは電柱はあっさり省略したこともありましたし、奥のほうだけに建植したこともあったのですが、今回はレイアウトのベース板が柔らかいスタイロフォームですから、地面に挿すだけで接着せずにメンテナンス時には抜き取りができるようにしてみました。それに鉄道の電柱のほうは、形状を架線柱にしたものを別に作って取り換えれば、将来的に電化路線にすることも可能になるわけです。そうすれば、駅の雰囲気も小規模にしてありますので、ローカル私鉄の混合電車など…

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【852】 緊急停車@揖斐川橋梁

国鉄がなくなるまで1年を切った昭和61年6月のことでした。 夕方、113系電車6両編成の下り米原行普通列車に名古屋で乗継いで、東海道本線を終点米原へ向けて乗務していました。 (今回の画像はすべて当該列車ではないのはもちろんのこと、その時代の画像ではありません。上の画像はさらに遡って昭和47年名古屋駅に停車中の113系電車) 米原行は18時13分に穂積駅を定刻に発車しましたが、6月ですからまだ暗くはなっていませんでした。名古屋から米原までのほぼ中間地点とも言える揖斐川鉄橋上を高速で走行中、列車が急停車しました。 揖斐川は木曽川・長良川と並んで濃尾平野を潤す木曽三川と呼ばれる大河のうちのひとつですので、東海道本線の揖斐川橋梁はトラス桁がいくつも続いて300m以上もある非常に長い鉄橋でした。 運転士からの「電話機にかかれ」のブザー合図で受話器を取ると、慌てた声で、「鉄橋の上で上り線からこっちの列車の直前を人が渡った!その瞬間に、人が消えた!音がしなかったから、轢いてないとは思うが、川に落ちたんじゃないかと思う。降りて見てくれんか。わしもすぐ降りて後ろへ行くから!」 これは一大事ですが、当時は列車無線がありませんでした。 「ただいま、運転士が線路上に人影を発見して急停車をしました。これから状況確認をしますので、しばらく停車します。」 とりあえず車内放送を入れて、乗務員室扉から降りるのですが、こちらが川に落ちてもおかしくないような状況で、鉄橋上はむきだしの鉄骨に、線路に沿って格子状に…

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【851】 スチール棚の小レイアウト開業まで:4

倉庫用スチール棚に置いたNゲージの小レイアウトが完成するまでのことを連載しています。 先週書いたところまでの進捗状態に加えて、左側では畑地の表現をやり始め、右側では川面の着色をした時点での画像です。仕上げが未着工のスタイロフォーム露出部分が徐々に少なくなっていきます。中央部は島式プラットホーム用地ですが、余剰のポイントが分岐角度が開いたR280しかなかったので線間が広すぎてただでさえ少ない用地の無駄使いとなったばかりでなく、不自然に線間が広いプラットホームになってしまいますが止むをえません。右側の未着工部分は酒蔵の敷地部分で、そこにはあとで土を表現するために京壁を塗ります。 中央部の島式プラットホームは、かつて破壊したレイアウトから剥ぎ取ったGMのプラキットを再利用しますが、あまりにも広い線間にはそのまま利用できませんでした。そこでプラットホームを線路と平行に真っ二つに切り落として、左右の線路際に接着。中央部に空いてしまう空間を上から厚紙でふさぎました。 この島式ホーム以外にもう一つ、右側の酒蔵予定地に隣接する貨物扱用側線に製品出荷用という想定の貨物ホームを設置しました。これはTOMIX製ホーム先端用パーツで、使用せず余っていたので、適当にカットして利用しました。 レイアウト左端の急カーブ部分周辺に作る畑地のベースとして、家に包装用として余っていた緑色に着色された波形段ボール紙を適当な大きさに切って使いました。その貼り付け直後の画像です。↓ この後、段ボールのくぼみ部…

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【850】 ランキングと車掌

いきなり鉄道にまったく関係ない話から始めますが、下の画像は昭和時代の月刊誌の切り抜きです。読者による女性タレントの人気投票の結果です。 なつかしいタレントさんが名を連ねていますね。そして下の画像はまったく同時期の別の雑誌の切り抜きです。同じ時期であっても、集計によって順位が入れ替わるものですから、順位が全てではないはずで、私はこうしたベスト〇〇は傾向を知るうえでの参考程度に見ていますが、1位にこだわって一喜一憂したりしない人です。特に人気といった正体がつかめないもので比較して順位付けをすることには賛成しかねるところがあって、1位こそがほんとうのベストなのかと思ってしまいます。 ここから鉄道の話にしましょう。国鉄でも、決算が終わると前年度の各線区の収支状況、営業係数などが発表されたので、マスコミはそれに順位をつけて報道していました。 こういうことは、単純に数値だけで比較され、知らされる私どもは、ベストあるいはワーストに入った対象だけが強く印象付けられてしまいがちです。線区別にそれぞれ固有の事情を抱えているので、それぞれの線にしてみれば、異議や、言い訳の一つも言いたくなることでしょう。しかし傾向はわかります。順位が多少前後してもおよその感触はつかむことができ、上の女性タレントの2つの集計結果を見てもそうですが、10人の顔ぶれはまったく変わっていません。上の画像にある国鉄の線区で言えば、美濃太田~北濃(越美南線)が営業係数ではワースト1で、名古屋鉄道管理局内では一番の赤字路線として糾弾され…

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【849】 スチール棚の小レイアウト開業まで:3

倉庫用スチール棚に置いたNゲージの小レイアウトが完成するまでのことを連載しています。 電動ポイントの配線はできるだけ束ねてまとめ、一段低くなった水田予定地と駅予定地の段差部分に作る厚紙製の法面の裏側に通します。水田の表現は簡易にして家にある人工芝の端切れを利用します。将来、ポイントマシンの故障などで配線をつなぎなおす必要が生じた場合に、人工芝をめくり紙製の法面を捲り上げれば破壊する個所を最小限にすることが可能です。 その法面となる紙を、合板部分に少量の木工用接着剤で接着します。これで配線部分がトンネルのように覆われました。水田になる一段低い部分は、とりあえずそのままにして、後で人工芝を敷きます。 駅前に続く舗装道路部分には、厚紙を貼ってあります。後でその部分にグレーの塗装をします。線路間のスペースには、ブラウン系の繊維壁(建築用)に、調色のためアクリル絵の具を混ぜてから、下地の上に盛っていきます。そのほかの道床わきの土の表現も同様の方法で繊維壁を盛って下地を隠していきます。 この繊維壁ですが、実は30年近く前にレイアウトの地面や道床用としてホームセンターで買った残りです。レイアウト製作に使う以外に使い道がありませんので、レイアウト製作のたびにこの繊維壁を使ってきました。粉末状で糊も混ぜてある製品なので、水と混ぜて練るだけでよいのですが、そのままだといかにも「壁」なので調色を要します。 下地に押し付けるように塗って乾燥を待ちます。プラ(道床部分)には相性が悪く接着せず、乾燥…

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