【966】 国鉄時代の観光案内車内放送:「しなの」(4-1)

私が国鉄末期に乗務していた「しなの」号は、名古屋と信州を結ぶ列車で、381系電車9両編成で運転されていました。 乗務する車掌は3人チームで、その中の車掌長がチーフと呼ばれ、車内放送も受け持っていました。チーフは列車全体の責任者としてグリーン車の乗務員室に乗務し、私は最後部の運転室でドア扱いも担当する最下位の専務車掌で、乗客扱いのほかに列車の運転に関する取扱(ドア扱いをはじめ信号現示確認し列車を発車させるなど)を兼ねていました。もう一人は特別改札行路の専務車掌(車掌長行路に組み入れられていたので、実際には車掌長職の場合がほとんど)で、主に前寄り3両の自由席車を受け持ちました。チーフはグリーン車を含む編成中央部の指定席3両を、最後部の私は後寄り3両(指定席)を受け持つのが一般的でした。 当時の私は、何事もなければ将来は車掌長になるのが自然の成り行きでしたから、車掌長の仕事のテクニックなどを見て、後の自分の仕事に活かそうと思っていました。 この列車では、観光客のみなさんから、車内巡回中に沿線の風景や名所について尋ねられることもありましたから、私は必ず木曽路の観光ガイドブックを持って乗務していました。詳細な沿線観光案内放送をされる車掌長氏とコンビになったときには、最後部の運転室で私物の小型テープレコーダーでそれを録音したこともあり、わかりやすい放送のしかたや、沿線の観光地のことなどを勉強したものです。 その録音テープを今になって聴きなおしますと、あたかも実際にしなの号に揺られているようで、…

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