私の所属していた職場では、専務車掌になると臨時列車も乗務することになっていました。
臨時列車は多客期に運転される波動輸送対応の列車のほか、試運転や車検の際の工場入出場列車、新車の所属基地への回送、ダイヤ改正時ほかの車両の転属、廃車回送、修学旅行等の団体列車など多くの種類があります。
たとえば以下のような列車なのですが、今回貼らせていただいた写真の列車は、いずれも自分が乗務したものではありません。休日等を利用して撮影したものです。
団体列車の例で、これはお座敷列車です。写真の列車は悲運のお座敷列車「みやび」です。国鉄末期の昭和61年12月、山陰本線の余部鉄橋上で強風にあおられて転落し、乗務員と下敷きになった工場従業員の方々が死傷し、車両もデビューから1年もたたずに廃車となりました。事故当時私も現役専務車掌であり、また退職を決意していた時期でもあったので強く印象に残っています。
新車の試運転列車の例で、これは国鉄末期に四国で使用するために新製されたキハ185系特急気動車です。メーカーから回送されたあと、東海道本線で試運転をしたときの1枚です。試運転の内容は知りませんが性能試験ではなかったかと思います。撮影場所は名古屋駅で東海道線下り方面に向かい、再び名古屋へ戻ってくるダイヤだったように記憶しています。
これも試運転列車ですが、新車ではありません。通常は紀勢本線で運用されている日根野電車区の381系電車が中央西線に入線し、台車やパンタグラフなどの機器を改良したものに交換した状態で高速試験を実施するものでした。この前月には、この車両が湖西線において日本の在来線での最高速度の記録となる時速179.5㎞を記録しています。
専務車掌になると、このようにそれぞれの乗務車両が通常とは違っている場合があるので、その取り扱いや仕事の内容が変わってくることもあるわけで、どんな列車に指定されるかわからないため多くの知識が必要となるわけです。同時に鉄道好きにとって、このような列車の乗務は楽しみの一つでもありました。
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- 【130】鉄分補給2011.1.25:中央西線に入線した381系電車
- Excerpt: 例年、冬場には中央西線に関西地区から信州への団体臨時列車が運転されます。かつては167系で運用されることが多かったのですが、その廃車で近年は381系が運用されることが多くなりました。
- Weblog: 昭和の鉄道員ブログ
- Tracked: 2011-01-27 06:00



この記事へのコメント
アルヌー
こんにちは。
廃車回送は、寂しい気持ちになりそうですが、
それ以外の臨時列車の乗務は、普段と違う車両に乗ると思うので、楽しそうな感じがします。
でも、それぞれの車両の知識が必要だと思うので、
実際には、大変な事もあったのでしょうか?
余部鉄橋の列車転落事故は、かなり衝撃的で覚えています。
湖西線って、そんなスピード出せるんですね。
営業運転では、130キロでしたよね?
狭軌でも、下がしっかりしていれば、170キロ越えられるんですね。
初めて知る事が多くて、
しなの7号さんのブログ、いつも楽しみにしてい。ます。(^-^)/
しなの7号
コメントありがとうございました。
お客様の乗っていない臨時列車は気楽なものでした。
旅客営業で特別な車両に乗務する場合は、事前に現車で訓練会をしてました。回送や団体の場合はぶっつけ本番でしたが、冷暖房の心配も要りませんのでどうということはないです。運転取扱上の機器類はどの車両も似たようなものだったようです。
湖西線は踏切がなくカーブもゆるくて新幹線並ですから高速試験もできるのでしょうね。国鉄当時は湖西線も120キロじゃなかったかなあ。今はおっしゃように130キロで運転されていますね。
野良太郎
僕は臨時列車といえば忘れられない思い出が有ります
しなの7号
修学旅行で乗務員体験とは、一味も二味も違った思い出が残りましたね。徹夜勤務お疲れさまでした。