前回は始発駅を発車するまでの作業について記しましたが、機関士にも渡した貨車解結通知書の内容を読み取ってみましょう。
わかりやすくするため、あえて簡単な事例を実例としてとあげます。
昭和55年8月8日 東海道本線960列車(大垣~稲沢間)
<<大垣発車時の編成>>
EF65 24(稲二)
ヨ 8691(天リウ)
ォホキ 1659
ォホキ 1657
ワフ 35017(新ナソ)
ォホキ2両は空車で、次駅の穂積で切り離す車両です。
穂積駅には線路に散布する砕石を積み出すための設備がありました。この2両は砕石輸送のために回送される貨車なので空車です。
大垣駅で貨車解結通知書を受け取ります。
駅の控え、列車掛用、機関士用の3枚複写です。年月を経て、複写した文字が経年によって見難くなっていますのでご了承願います。写真のみ拡大表示していただかないと内容はわからないと思います。また、携帯でご覧いただいている方には、写真の内容がわからないと思いますがご容赦ください。
「貨車数」欄の1.0はヨ
1.2はワフ
1.8はォホキ(2両)
合わせて4両編成であることがわかります。これは貨車解結差引計の
実現車欄の「4」に反映しています。
その隣の欄は6.0となっていますが、列車の長さを表します。2軸車の標準長8メートルを1両と換算します。ォホキはボギー車で車長が長いので2.0と決められています。右側の「実現車のうち」の「2.0」の欄の「2」の記載で、それが2両あることがわかります。
その隣の「換算両数」の5.8は列車の重量を表します。10トンを1両とすることに決められています。
「貨車数」欄の(ヨ)1.0×1+(ワフ)1.2×1+(ォホキ)1.8×2=5.8と算出できます。
約58トンと軽い貨物列車であることがわかります。
左端の「ホミ」は穂積駅、「キフ」は岐阜駅を指します。「ホミ」の「解」欄に現車2、換算両数「3.6」、さらに右へ行くと貨車数「1.8」が「2」とあり、解放するのはォホキ2両であることがわかります。
さらに右へいくと「貨車解結差引計」に実現車「2」、延長現車「2.0」、換算両数「2.2」と記載されています。これは穂積駅でォホキを2両切り離した後はヨとワフの2両だけが残ったことを示します。
一番下に「キフレケ有り」と記載されているのは、始発駅大垣の発車時点で岐阜駅で連結があることはわかっているが、内訳はわからないことを示しています。「キフ」の「結」欄に数字を後で書き込んだことがわかると思いますが、必要があれば事前に途中駅の穂積で岐阜駅に内訳を確認し列車掛がそれを記入して、機関士にも通知します。必要がなければ岐阜駅到着後に岐阜駅で内訳表を受領し確認することができます。
結果的に、岐阜で大量の車両を連結し、終点の稲沢には19両の貨車を連ねて到着することがわかりますが、これでもかなり短い部類です。
この日岐阜駅で連結したのは
ストラ58230 岐阜→西名古屋港
ワム 67064 岐阜→笠寺
コトラ45609 岐阜→西名古屋港
トラ 71807 岐阜→大府
タキ 38065 上枝→塩浜
タキ 35534 上枝→塩浜
ワラ 721 高山→千種
ワラ 13648 高山→千種
タキ 29973 高山→塩浜
ワ 12155 高山→笹島(事業用)
コトラ92070 飛騨一宮→春日井
コトラ90950 飛騨一宮→春日井
コトラ90616 飛騨一宮→春日井
コトラ91762 飛騨一宮→春日井
コトラ90615 飛騨一宮→春日井
コトラ90612 飛騨一宮→春日井
コトラ90956 飛騨一宮→春日井
でした。
今となっては、信じられないような車種や行先がありますね。高山線に貨物列車があり、上枝には石油基地があり、飛騨一宮には製紙の原料となるチップの積み込み設備があったものと思われます。千種にはサッポロビールの工場がありました。春日井には今でも大手製紙会社の専用線があってワム80000やコキを連ねた貨物列車が月~土曜日に毎日1往復設定されています。
今回は車両の写真がないので、現在の上り春日井貨物(中央本線670列車)の写真でもご覧ください。
色彩は変われど国鉄車両のEF64 1000番台にワム80000が連なっています。通常は新鶴見のEF65 1000番台の担当ですが、時としてこのように愛知機関区のEF64が代走しています。いずれの機関車にしても貴重な国鉄テイストが味わえる列車です(^_^)/~
次回は今回取り上げた960列車の穂積駅を例に、その入換作業の内容を取り上げてみます。
この記事へのコメント
アルヌー
今、父のパソコンでブログ拝見しました。
やはり携帯では、どんな事が書いてあるのかわからなかったので。
(^_^;)
貨物列車をどの様に造って走らせているのか良くわかりました。
(^O^)
岐阜駅でたくさん連結されていますが、あれでも少ないほうだったんですねー!ビックリです。
行き先がバラバラの貨車を効率良く繋いで運ぶのは、頭を使う作業ですね。
重量や長さも頭に入れなければならないのも、凄い大変な事だと思います。
二軸貨車の走る音って、いいですよね~。
\(^o^)/
しなの7号
携帯で内容がわからないような写真で、ほんとうにごめんなさいm(__)m
2軸貨車の音は最近ではなかなか聞けないものになってしまいましたね。それからロングレールが増えて、2軸貨車に限らず、場所を選ばないと音もゴーッというだけで過ぎていったりしますね。
hmd
。。。なるほど、と拝読させて頂きました^^
換算両数と実車の関係が今まで具体的によくわからなかったので大変勉強になりました。
本当に当時の貨レは臨機応変な編成である意味生ものみたいですね^^
ロクヨン+ワムも格好いいです。
p.s.
実は中央東線に近く、八王子機関区にも近かったので
1000番台を含めてロクヨンは特に思い入れがあります。
しなの7号
ご覧いただきありがとうございます。
いまでも貨物列車は、列車によっては変わった車両が連結されていたりすることがあって、おもしろいものですが、当時はもっとおもしろいものだったと感じます。
本文中には記しませんでしたが、この960列車に入っている「ワ」など、背丈も低く白線が入ってボディで目立ちましたし、毎日連結されるものでもなく、目立つ存在でした。
貨車区一貧乏
それにしても昔の資料丁寧に保管なさってますね~
感心します^^
しなの7号
おはようございます。
え!やっぱり、こんなもの捨てずに取ってある方があるんですねえ。
解結通知書は緩急車に乗ると、よくそのまま放置されていましたね。局や用途によって様式もすこし違っていて拾ってきたものも持ってますので、いずれアップしますね。
(いつになるかは皆目わからないですが・・・)
コメントありがとうございました。