【181】 乗務した車両:ワフ29000・ワフ29500・ワフ35000有蓋緩急車

乗務した「ワフ」のうち、ワフ29000、ワフ29500及びワフ35000有蓋緩急車について書いてみます。

この3形式は外観、室内、装備ともよく似ています。
私も、実際に乗務していた頃は、その違いを意識せずに乗務していました。
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写真はワフ29500です。

外観上、ワフ29000とワフ29500は、側窓の数が左右で違っていて、片側3つで反対側が2つ。ワフ35000のほうは両側とも2つであることが識別ポイントでした。
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上の写真ではどちらも2枚窓ですが、両者の向きを変えると
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このように窓の数が違います。上下とも、左はワフ35000、右がワフ29500です。

同様に先週ご紹介したワフ21000またはワフ22000も3枚窓ですが、窓の形が縦長か横長かで容易に区別できました。
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左がワフ22000、右がワフ29500です。

しかしながら、ワフ29000とワフ29500の相違点が判りませんでした。
そこで調べてみますと、

ワフ29500は1955年から新製された車両で貨物積載量5トン。
ワフ29000は1954年から新製された車両で貨物積載量7トンであったが、1966年以降貨物積載量5トンとしてワフ29500とほぼ同一の車体に改造。

と、生まれによる違いのようです。
要するにワフ29500は新製車両。ワフ29000は改造によってよく似た形態になったのでした。

一方、ワフ35000は1936年から新製されたワフ25000の改造車で、この非常に古いワフ25000は貨物積載量8トンと、貨物積載量を多く取り、車掌室は狭い形式だったようですが、私は見たこともありません。ワフ35000への改造は1960年から始まり、ワフ29500と同様に貨物積載量5トンとし、車掌室の設備も類似のものとした形式ということがわかりました。

これら、ワフは、時速75㎞以下の貨物列車に運用されていました。ほとんどの二軸貨車は時速75㎞まで走行可能でしたので、多くの貨物列車で見ることができました。

車掌室と貨物室の間仕切り壁にはドアはないのが普通でしたが、通り抜けができるよう壁面にドアが設けられた車両に乗務したことがあります。必要があって改造されたものと思いますが、私の乗務範囲でワフの貨物室を利用するような運用は、関西本線の新聞輸送以外にはなくて、そのほかの列車でもワフは他形式の緩急車や車掌車(ヨ)とも混用されていました。
片側が貨物室のため、両側デッキの「ヨ」より隙間風がいくらか少ないので、先週のブログ記事に「貨車区一貧乏様」からコメントを頂いたよう内容のように、「冬場で進行方向に貨物室がありストーブが石炭だったときには普段より隙間風がなくて、室内が暖かった」というのがヨよりもワフのほうがよかった点と言えましょうか。

編成例です。

昭和55年4月1日
関西本線 6282列車
運転区間 四日市~稲沢(南松本)
乗務区間 四日市19:06~稲沢21:18

DD51 816(稲一)
ワフ35750  (名イナ)
タキ15141 四日市~長野
タキ35623 四日市~脇野田
タキ13281 四日市~脇野田
タキ 9835 四日市~村井
タキ13002 四日市~長野
タキ35664 四日市~村井 
タキ13226 四日市~村井
タキ35334 四日市~脇野田
タキ35815 四日市~村井
タキ35478 四日市~脇野田
タキ31585 四日市~二本木
タキ31532 四日市~南松本
ワフ29913  (天カメ)

この列車は四日市から信越方面への石油製品を輸送する列車でした。稲沢から列車番号が6875列車に変わって中央西線に入り、南松本まで運転されました。稲沢から進行方向が変わり、塩尻でも再度進行方向が変わるため、この列車には前後に緩急車が連結されていました。



昭和55年5月2日
関西本線 5294列車
運転区間 (関)富田~稲沢(東静岡)
乗務区間 (関)富田12:42~稲沢14:35

DD51 816(稲一)
ワ フ 29029 (秋カタ)
コタキ112053 東藤原~西浜松
コタキ112046 東藤原~西浜松
コタキ112001 東藤原~西浜松
コタキ112000 東藤原~西浜松
コタキ112011 東藤原~西浜松
コタキ112045 東藤原~西浜松
コタキ112002 東藤原~西浜松
コタキ112003 東藤原~西浜松
ワ フ 35231 (金サワ)

この列車は三岐鉄道の東藤原から飯田線浦川・元善光寺と東海道本線の西浜松へセメントを輸送するための列車でしたが、いつも飯田線方面への荷はなく、西浜松行セメントターミナル㈱所有のライトグリーンのタキ1900だけが2両の緩急車にはさまれた編成でした。やはり稲沢で進行方向が変わりますので前後に緩急車を連結していました。

ワフについてはこれで終わりますが、来週は車掌車「ヨ」についての記事になります。

この記事へのコメント

  • 京阪快急3000

    「有蓋緩急車」のお話、大変参考になりました。
    私の知らなかった事ばかりでした。
    次回からの「車掌車」のお話も、楽しみにしています。
    2011年07月04日 06:39
  • しなの7号

    京阪快急3000様 おはようございます。
    ワフは遠い過去の車輛ですが、ローカル線で駅の待合室代わりに置いてあるのを見かけます。
    旅の時に、ちょっと気にしていると意外に第二の仕事についている姿を見かけますよ。
    2011年07月04日 06:50
  • くろしお1号

    しなの7号様、こんばんは。
     在職中に乗務されたワフ形式だけでも、5形式に上るのですね。これからご紹介いただくヨ形式を含めると、どれだけの数になるのでしょう。改めて、国鉄時代の車種の豊富さと、貨車の奥の深さを感じます。
     押入れの中を物色していたら、エンドウのワフ35000が出てきました。今ではNゲージでも後部標識灯が点灯するそうですが、こちらは赤のペイントでした。これでは、昼間しか運用できませんね!
     列車掛の先輩いわく「ワフは積荷の臭いが乗務員室に充満して、臭くてかなわなかった」。この話しを聞いた時には、壁の隙間から臭ってくるのかな?と思っていましたが、今回のブログを拝見して、もしかすると仕切り扉付きだったのかな…と、また今度聞いてみようと思いました。
     エンドウの貨車を集め始めて間もなく紀伊号を知り、以降は旅客車両ばかりに目が向いてしまいましたが、このように貨物列車のお話しを伺うと、今更ながら興味が湧いて仕方がありません。そう言えば、家畜車や豚積車もあったのですね。家畜車の「カ」は頭文字として、豚積車がどうして「ブ」でなく「ウ」だったのか気になります。形式に濁点は禁止、しかし「フ」は緩急車、よく似たところで「ウ」。この仮説、どうでしょうか?荷重区分の「ムラサキ」も疑問です。ご存知でしたら、またの機会にご教示下さい。
    2011年07月04日 22:45
  • 貨車区一貧乏

    こんばんは
    緩急車が廃止になって26年になりますね

    ワフに貨物室との仕切りにドアがあるものもあったんですね 初めてしりました
    とかくワフは積載する役割もあってか単バネのセッティングが硬く乗務中胃下垂になるんじゃないかなって思う位乗り心地が悪かった・・・ある意味、本当の貨車の乗り心地なんだなぁと思ってました
     当時はヨ8000やコキフ(空気バネ使用)50000に当たると天国に感じられました(笑)
     この中でなじみがあるのはワフ29500形式ですかね?多分一番多く乗りました

    車両検修係時代に検査でワフの貨物室を見ましたが ほとんど使用された形跡がなく埃だらけで、むなしさを感じてたこと思い出しました・・・
    2011年07月05日 00:48
  • しなの7号

    くろしお1号様 おはようございます。

    エンドウのワフ35000は数少ない私の持っている16番模型に含まれていますが、錆もひどく状態は悪いです(-_-;)そのうちに拙ブログでお目にかけましょう。
    私が乗っていた昭和55年前後では積荷の臭さというのを感じた記憶がありません。積車のワフというのは新聞輸送以外に私が出会ったことはありませんでした。ローカル線で荷物車代わりに使用された例はあると思います。

    貨車の記号については謎です。くろしお1号さんの仮説は自分と同じです^^;その程度のことだったと思いますよ。
    コメントありがとうございました。
    2011年07月05日 06:15
  • しなの7号

    貨車区一貧乏様 おはようございます。
    26年ですか。ともすると2~3年前のことのように思うことがあります。騒音と固い乗り心地はすさまじい限りでしたね。
    関西本線でちんたら走っているのはまだしも、この記事の一番上の写真など、稲沢から吹田までの東海道本線上なので、堪えました。写真はその途中米原(操)停車中の様子です。
    私が乗務していた時期に限ってはワフの貨物室使用の例は稀だったと思いますが、乗務列車に新聞輸送列車がありました。「【29】国鉄貨物列車の編成例(関西本線263列車)」で、少しだけ触れました。
    こめんとありがとうございました。
    2011年07月05日 06:26
  • ヒデヨシ

    しなの7号様こんばんは
    ワフは大好きです
    特にこの3種は大好きです
    まあ、乗務は大変だと思いますが
    ヨ並の設備を備えているのでマシな方でしょうか?
    ワフ35000は種車の配置を一部利用していますので外板とかに埋めた扉の位置が残っていたりします
    ワフ29000は徹底的に改造され新製のワフ29500と変わりないそうです
    本来ならワフ29500に編入でしょうが
    台枠型式が違うので編入されなかったらしいです
    2016年03月06日 23:53
  • しなの7号

    ヒデヨシ様
    解説ありがとうございます。
    私の貨物時代は、ワフならたいていこの3形式のどれかに当たるほど、当たり前の存在でした。
    事務机とベッド代用にもなる長椅子、倉庫として使える貨物室…かつては、模型のレイアウト併設の部屋にしたいと思ったものです。
    2016年03月07日 08:20

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