以前のブログ記事「【217】 亀山駅の荷扱(゜o゜)業界用語???」 では、非公式な駅名の呼び方に対し、多くのコメントを皆さんからいただきましたので、今回は、国鉄在職中に便宜上使っていた駅の呼び方を、いくつか挙げてみようかと思います。
先週のブログ記事で、初めての武豊線乗務で「尾張森岡」までの切符を発行したことを記しましたが、地元のお客さんは旧国名の「尾張」は言わないで「森岡まで乗り越し」といって申告されるのが常です。
初めて武豊線に乗務する新米車掌には「もりおかまで」と言われると一瞬東北本線の盛岡かと思ってしまうものです。このように地名だけでは紛らわしい駅名には旧国名を冠されていることが多いです。お客さんの申告については、後日紹介するとして、今回は部内での駅の呼び方です。
荷扱、客扱ともに間違いやすい駅名は独自の呼び方をすることがありました。たとえば「○○一宮(一ノ宮)」は全国各地にあり、地元のJR東海だけでも「尾張一宮」(東海道本線)、「三河一宮」(飯田線)、「飛騨一ノ宮」(高山本線)と3駅もあります。主に仕事上で関わるのは東海道本線の「尾張一宮」だけですが、乗務員は略して「オイチ」というのが定番でした。
そのほかの旧国名の有無による区別として、旧国名が付いている駅名のお尻の部分をカットするという方法が次の例のように用いられました。
紀伊長島→キイナガ
伊勢柏崎→イセカシ
そのほか、
木曽福島→キソフク
美乃坂本→ミノサカ
(厳密に言うと「木曽」は旧国名ではありません。また、「美乃坂本」はなぜか「美濃坂本」でなく、旧国名と異なります。)
木曽福島については、単にキソということもありました。
ついでに言いますと、上の切符にあります「津」駅は日本一短い駅名ですが、短いのも言いにくく、「つう」又は「つー」と発音する場合が多いです。これを「【217】 亀山駅の荷扱(゜o゜)業界用語???」 の亀山駅日通氏に言わせると『「つんぼ」やで~』ということになるのです。
こんな感じですが、旧国名が付く駅名すべてにこういう法則?が適用されるわけではありません。たとえば乗務範囲であり、しかも終点の「美濃赤坂」などはよく使われる駅名でしたが、「赤坂」といいましたし、「三河三谷」も「三谷」でした。
「紀伊長島」は名古屋から紀勢本線へ直通する列車が多い中、本家?の「長島」も通りますから絶対に区別する必要があるのですが、美濃赤坂の場合はその必要がないのでしょうか。しかし区別するということより、長たらしいので、途中で切ったというだけでしょうかね。次の例を見るとそういうことなのかもしれません。
西小坂井→ニシコ
西浜松→ニシハマ(貨物駅)
隅田川→スミダ(貨物駅)
南松本→ナンマツ
南福岡→ナンプク
武豊線内で「緒川(オガワ)」と「乙川(オッカワ)」が紛らわしいなと最初は思っていたのですが、この二者はイントネーションが全く逆で、「緒川」は「_――」と「ガワ」にアクセントがあり、「乙川」は「―__ 」
と「オ」にアクセントがあって、部内では意外と間違うことはなく、特別な呼び方はありませんでした。
中央本線に「塩尻」(シオジリ)と「野尻」(ノジリ)という駅があります。まったくのお遊びですが、荷扱時代、「尻=ケツ」ということで、「シオケツ」「ノケツ」といつも言っていました。
また私が就職したのとほぼ同時に、乗務線区だった篠ノ井線の「麻績」(オミ)駅が「聖高原」(ヒジリコウゲン)と改称されました。
これも長い駅名で「セイコウゲン」という人が多数いました。また、荷扱専務車掌のKさんは、「ヒジリコウゲンなんてへんな駅名やなあ。エロジリコウゲンのほうがええがや。なあ」と一緒に乗るたびに言っていました。こっちも調子に乗って、「Kさん!、エロ尻高原、卸しは5個ね!」とか言って、Kさんと乗るときだけは「エロ尻高原」と呼んで楽しく乗務していました。
仕事上の駅名の特殊な呼び方をいくつか書きましたが、来週は車内巡回中などに、無人駅から乗ったお客さんへ切符を発売するときに、そのお客さんが申告された駅名の呼び方について気になった例をいくつか挙げてみます。
この記事へのコメント
京阪快急3000
今回の記事、なかなか面白かったです。
そういえば、関西の大手私鉄「近鉄」の「南大阪線」で、一昔前は、同線「河内長野駅」のことを車両の種別・行先表示器に「○○(←列車種別)長野」(現在は「河内長野」と表示)と表示されていて、子供の頃の自分は「この列車で長野県にいけるのか・・・?」などと、今では笑えないジョークですが、本当にそう思っていました。
しかし、こちらの方が「一枚上手」でしたね。(笑)
しなの7号
長野と言われれば、河内地方の人でなければ信州の長野ですね。日本は広いです。紛らわしい地名駅名だらけですが、それを聞き分けて間違いがないようにするために昔から現場では工夫したのでしょう。まあ「エロジリコウゲン」は、それとは全く関係ないことですけれど…
野良太郎
僕の地元にも有りますよ!例えば伯耆大山がだだの大山とか
木次線の出雲大東が
大東とか出雲三成がただの三成だとか
実際に車補にこの駅名で発行してた乗務員がいましたよ!
発行乗務員区、列車番号が解らないと理解が出来ない事がたたありました!
しなの7号
地元では、その多くが旧国名を冠せずに駅名を呼ぶのが定番のようですね。乗車券類の使用文字は、
「旧国名等を冠した駅名の旧国名等は、ひらがなで表示する」「同一地区内相互発着の乗車券であって、鉄道管理局長において支障がないと認めるときは、旧国名等を冠した駅名の旧国名等の表示は省略する」ことができました。
今はなき大社線に乗った時、出雲車掌区の車掌さんに適当に1区間の車補を売ってくださいとお願いしたところ「荒茅~高松」の小児50円の片道切符を作ってくださいました。いうまでもなく、「高松」は予讃線の高松でも七尾線の高松でもなく、大社線内の出雲高松ですね。
くろしお1号
駅名…その歴史や経緯など掘り下げてみると、なかなか奥深いものですね。旧国名を冠するルールも、こちらへ来て「?」だらけでした。「愛知御津」など旧でなく現国名?写真にある尾張森岡は「尾張盛岡」ではないから「尾張」は不要ではないか!ならば「柏原(かしわばら)」は「かしわら」「かいばら」と区別がつかないのに、なぜ「近江柏原」でないの?その上、乗務員は「かっしゃばら」とオリジナルなふり仮名を付けていました。
「オイチ」「ニシコ」「ニシハマ」は、私たちが日常使っています。貴ブログで長年の歴史ある略称であることを知り、感慨深いです。美濃赤坂は「ミノアカ」派と「アカサカ」派があるようです。
金山も「ハイッ!1、2番か7、8番線です」と早合点すると、まれに飛騨金山…「そちらは11番線です」。また、一度だけですが実は「亀山」だったこともありました。しっかり聞き取らないと、本当にとんでもないところへ連れて行ってしまいますね。発音が聞き取りにくい時は「お金の山の金山ですね」と念押ししています。縁起のよい例えで、取り敢えずの誤乗防止対策です。
「エロ尻高原」いいですね!国鉄丸出しです!機関区では留置3番→留め3(とめさん)→「と」の子音省略といった明らか放送禁止用語もあり、対して自動連結器の鎖錠を確認する錠足は「○んぼ」。こちらは男性ですね。両方のご神体を祀っていた霊験あらたかな職場でした(笑)
貴ブログの品位を落としてしまい、申し訳ありません!
しなの7号
地名由来の駅名の前に冠されるのは旧国名に限らず、いろいろありますね。結局のところ、他の類似名称の駅との区別をつけることが一番の目的なのですから、口頭でも書面でも区別をつけなくてはなりません。愛知御津(あいちみと)駅も、御津と水戸は発音が同じだし、三河御津とすると三河三谷と読みが一字違いで紛らわしいし・・・・じゃ愛知を付けたれっていうことで愛知御津になったという事情があったみたいで、そうした事情は各駅ごとにありそうですね。
「ミノアカ」は使いませんでしたね~。そのほかの「オイチ」「ニシコ」「ニシハマ」は伝統的に生きてるんですね。
自動連結器錠足の通称は、まさにそのとおり。これが連結器下部に「露出」していないといけないんでしたね(^_^;)
数々の地元の事例を挙げていただきありがとうございました。