【285】 臨時列車の乗務（13）：特発381系回送列車

1986年9月は予備勤務に当たり、しばらくの間、臨時列車に乗る機会が増えました。
また、出勤予備といって、緊急時に対応するするために車掌区で待機するという勤務もありました。専務車掌としての予備ですから、あらゆる列車に支障なく乗務できなければなりませんが、出勤遅延者や病気や事故での突発休がなく、大きなダイヤの乱れもなく1日が終われば、要するに「ブラ勤」で何もすることなく車掌区内に居ればそれで1日が終わるわけですが、必ずしもそうはいきません。地球が回っている以上、どこかで何かしら事が起こるものです。　

この日もそういうわけにはいきませんで、午後になって中央西線で架線事故が発生し、上り名古屋行のしなの8号が、途中駅で足止めを食らって相当時間遅れているということでした。

（写真はＪＲ化後に撮ったもので、当日のしなの号とは関係ありません）
しなの8号（1008Ｍ）は所定時刻であれば14:22に名古屋駅に着き、折り返し15時00分発のしなの15号長野行（1015Ｍ）として折り返すことになっていましたが、このままでは定刻にしなの15号の運転ができません。急遽神領電車区から代わりの特発編成を出してしなの15号を所定時刻に発車させようということになったのです。

私は神領電車区からの出庫線がある春日井駅から名古屋まで運転される特発列車に乗務することになり、春日井駅まで便宜列車で向かうよう命じられました。

運転指令から臨時列車運転の指令伝達がありました。

1986年（昭和60年）9月9日
臨時列車運転
中央本線　臨回電　回9015M
運転区間　春日井～名古屋
乗務区間　春日井14:09～名古屋14:29

※名古屋で1015M（しなの15号）になる

この時の編成は次のとおりでした。
１　クハ３８１－　６　名シン
２　モハ３８０－１７　名シン
３　モハ３８１－１７　名シン
４　サロ３８１－　３　名シン
５　モハ３８０－　９　名シン
６　モハ３８１－　９　名シン
７　モハ３８０－２０　名シン
８　モハ３８１－２０　名シン
９　クハ３８１－１３　名シン

回送列車ではありますが、発車すると名古屋までの20分間は、のんびりはできません。この列車に限らず、折返し優等列車になる回送列車では、水タンクの給水状態とトイレ洗面所の水の作動状態、空調、暖房、放送設備、行先字幕など車内全般の点検確認をしたうえで、次の乗務員に引き継がなくてはなりません。特にこうした特発列車では気を付ける必要がありました。
このときは異常もなく乗務を終え、いったん車掌区に戻りますと、こんどは遅れて着く予定の1008Mしなの8号の編成を神領電車区に入庫させるので、その回送編成に名古屋から春日井まで乗務するよう命じられました。
運転指令から回9008M臨時列車運転の指令が車掌区に入っていました。こうした指令は今でいうFAXのようなもので送信されてきました。当時はその電信手段は「模写電」と呼ばれ、その指令からの「模写電」に記載された時刻を見ると所定の時刻にしなの8号が名古屋駅に着いたものとして時刻が記載されていました。

名古屋駅ホームで運転通告券の交付を受けました。

別紙には車掌区で渡された「模写電」そのものが添付され、その時刻は変更されていません。
これでは、いつしなの8号が名古屋に着き、私が乗るべき回送列車はいつ発車できるのかも解りません。見当を付け中津川駅へ電話すると143分延発したとのこと。そのまま名古屋駅ホーム事務室で列車の到着を待ち、到着した1008Mしなの8号から折り返す臨時の回9008Mに乗務して、運転通告券上の時刻から144分遅れて春日井に着いたのでした。

回送列車に2本乗っただけで、勤務時間からはみ出た勤務時間は超過勤務手当の対象なので、悪くない仕事ではありましたが、出勤予備で出勤後に長距離の泊り勤務にはまったりすると、翌日以降の勤務も変更になってしまうこともあって、プライベートの予定が入っていると困ることもありました。

Comments

[京阪快急３０００]

しなの７号様、こんばんは。

大変な乗務を任されられたのですね。
こういった類の「臨時列車の乗務」に関わるとなると、「一時の油断も許されなかった」のだと思いました。

[しなの７号]

京阪快急3000様　こんばんは。
！？…本文中に書いたように「超過勤務手当の対象で、悪くない仕事」の最たる例なのですが…
急に「しらさぎ」や「のりくら」で富山行ってきてくれとか、「赤倉」で新潟までとか言われたりしたら、
工ｴｴｪｪ(´д｀)ｪｪｴｴ工

[野良太郎]

お久しぶりです

僕の地元にも特発臨時列車乗務はたまにありましね

特発より突発的、特改乗務がありましたね！境線、朝の通学列車特改に病穴が出て急遽出雲1号、米子で乗務終了の車掌長が駆り出される事がありました！

50枚綴りの車補が30枚近く捌ける場合がある列車でしたよ！
駆り出された車掌長氏は売り上げはあるが疲れ切ってる上の特改乗務はたまらんと言っていましたよ

[しなの７号]

野良太郎様
夜行明けにもう一仕事というのは、いかにも辛そうです(>_<)
本文の例のような楽な乗務もあるかわりに、そういうこともあるのが乗務員の宿命ですね。