【544】 スチール棚の企画展3:ジョイフルトレイン(後篇)

「スチール棚の企画展」今回も国鉄時代に誕生したジョイフルトレインたちの後篇です。すべて機関車が牽引する客車です。
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機関車との組み合わせは線区によってバリエーションが豊富なので、その意味では「統一感がない列車」と位置付けられる場合もありますが、専用色の機関車まで用意して、統一感を求めたジョイフルトレインもありました。これらのうち、乗務したことがある編成については、過去に記事にしていますので、そのリンクを交えながら、各編成を簡単に順にご紹介していきます。
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全部で10編成ありますので、先週に引き続き、今回は後半5編成を登場させます。

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●東京南鉄道管理局の和式客車スロ81系「シナ座」
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 旧形客車のグリーン車スロ62・スロフ62から改造された6両編成でした。12系や14系から改造されたジョイフルトレインが主流になる以前の古い車両で、類似の和式客車は他局でも多数存在しましたが、2本の白線が入っていたのは、改造時期が遅かった東京南鉄道管理局「シナ座」と大阪鉄道管理局の「ミハ座」だけでしたので、この2編成はブルートレインのように格が上のような感じに見えました。国鉄末期に前篇で登場したお座敷列車「江戸」と交代する形で水戸鉄道管理局へ転属し、「ミト座」として茶色塗装にグリーン帯という国鉄全盛期の1等車を思わせる塗装に変更されて、分割民営化後以後まで活躍しました。
しょせんは旧形客車。暖房熱源エネルギーを機関車から受ける必要がありましたので、冬場の運用では機関車が限定される編成です。模型では乗務したときと同じEG付機関車EF62に牽かせてみました。
【362】臨時列車の乗務(18):EF62牽引スロ81系お座敷列車

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●名古屋鉄道管理局の欧風客車「ユーロライナー」
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 12系座席車から改造された7両編成でした。白っぽい色と斬新なスタイルは非常にインパクトがあります。また、個室とオープンスペース混合の特徴ある内装は、すでに登場していた個室車「サロンエクスプレス東京」とオープンスペース座席車「サロンカーなにわ」をミックスしたような内容の欧風客車でした。牽引機は専用塗色のEF6466。
【297】 乗務した車両:ユーロライナー(1)そのデビューと概要
【299】 乗務した車両:ユーロライナー(2)その国鉄時代
【301】 乗務した車両:ユーロライナー(3)そのグッズなど
【304】 乗務した車両:ユーロライナー(4)そのJR移管後
【306】 乗務した車両:ユーロライナー(5)最末期の再会
【386】 思い出の乗務列車24:臨時急行「ユーロライナーのりくら」(前篇)
【388】 思い出の乗務列車25:臨時急行「ユーロライナーのりくら」(後篇)
身近なものでしたから、以上のようにいくつも記事にしていますので、よろしければ覗いてみてください。

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●東京北鉄道管理局の欧風客車「スーパーエクスプレスレインボー」
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 14系(一部12系)座席車から改造された7両編成でした。国鉄最末期に完成しており、私は時期的に乗務チャンスはありませんでしたし、現車を初めて見たのも分割民営化後でしたから、国鉄が改造したとはいっても事実上のJR東日本向け車両とも言えましょう。
国鉄らしさを払拭するような塗装とスタイルは非常に目立ちます。専用機関車としてEF65PFとEF81とが用意され、いずれも車体側面にその形式名を白で大書した真っ赤なデザインは、模型みたいなホンモノだと思いました。ここでの牽引機は初代の専用塗色機EF651019。

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●名古屋鉄道管理局の和式客車「ナコ座」
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 12系座席車から改造された6両編成でした。塗装は改造前の12系と同じでしたが、両端のスロフにオープンデッキを設けた展望車仕様なのが特徴でした。模型ではJRマークが気になりますが、目をつぶることにしましょう。スタイルは自分から見るととても変で、撮って楽しむより、乗ってオープンデッキへ出て楽しむ車両という位置付けですが、地元車両でありながらプライベートで乗る機会は一度もありませんでした。
しかし乗務する機会は3回あり、そのうち2回は
【172】 臨時列車の乗務(9):名古屋のお座敷列車「ナコ座」
【289】 臨時列車の乗務(15):2度目の「ナコ座」

で、アップしました。
模型での牽引機は、おなじ名古屋局の「ユーロライナー」専用塗色のDD51592。

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●岡山鉄道管理局の欧風客車「ゆうゆうサロン岡山」
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 12系座席車から改造された7両編成でした。オープン座席の車内は大阪鉄道管理局の欧風客車「サロンカーなにわ」に近いのですが、外観の塗色は東京南鉄道管理局の「サロンエクスプレス東京」に似ていました。EF65123が専用塗色で用意され、模型でもこの組み合わせを再現しました。分割民営化後にリニューアルされ、全く印象が異なる明るい色になりましたが、自分的にはこの国鉄仕様がお気に入りです。
「ゆうゆうサロン岡山」については最近の記事でアップしたばかりですが、1回だけ乗務する機会があり、その際に機関車の入換作業も経験できました。
【516】 臨時列車の乗務(28):EF65123牽引「ゆうゆうサロン岡山」
【518】 臨時列車の乗務(29):「ゆうゆうサロン岡山」の入換作業

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実際に乗客として乗る機会を得ることが困難な車両たちでしたが、ホーム停車中に見るだけで乗りたくなるイメージリーダー的存在でもあったのがジョイフルトレインでした。国鉄の分割民営化に向けて、新しい輸送需要の開拓をめざすために改造された豪華な車両たちですが、現状はほとんどが引退しているだけでなく、後継車両がなくバブル時代の産物と言えるのかもしれませんが、模型の世界で末永くその功績を称え、往時を偲びたいと思い、今年は部屋のスチール棚は、この10編成のジョイフルトレインの展示で年越し予定です。

この記事へのコメント

  • サンダーバード46号

    こんばんは。国鉄末期の頃は、各鉄道管理局ごとにジョイフルトレインを保有してましたね。国鉄分割民営化の翌年に瀬戸大橋線が開業しましたが、高松駅でユーロライナーを目撃したときは、本州と四国がレールでつながったことを実感したものです。国鉄末期の大鉄局はサロンカーなにわと和風客車みやびを保有してましたが、餘部鉄橋からみやびが転落し死傷者発生のニュース速報を聞いたときは大変ショックでした。事故の2週間位前に大阪駅でみやびを目撃したばかりだったので、本当に耳を疑いました。14系客車からみやびに改造後、1年もたたないうちに廃車に追い込まれたことは、大鉄局の関係者の方も大変無念だったと思います。
    2014年12月25日 20:36
  • NAO

    しなの7号様、こんばんは。
    定期列車運用が無いジョイフルトレインに乗務に出来るって、運にもよるのでしょうね。
    行路に組み込まれたとき、他の車掌さんたちから羨ましがらたのではないでしょうか。
    2014年12月26日 01:48
  • しなの7号

    サンダーバード46号様
    おはようございます。四国でユーロライナーとは違和感もハンパではありませんね。
    国鉄時代の荷物車では航送の定期運用があり、東海道本線で汐留まで「四カマ」「四コチ」といった標記のマニやオユが見られ、これも違和感でした。余部橋梁の事故は国鉄分割民営化直前の1986年12月28日で、ちょうどこの年末時期だったですね。みやびは信州方面への団体列車で複数回地元でも見たことがありましたが、まさかこのようなことになるとは思いませんでした。
    2014年12月26日 08:13
  • しなの7号

    NAO様
    私どもの職場では、この手の列車には主に予備勤務の専務車掌で乗務していました。予備の場合、多くの種類の車両に乗務する機会がありますので、その取り扱いや仕事の内容が変わってくることもあるわけで、どんな列車に指定されるかわからないため多くの知識が必要となるわけです。鉄道好きな私のような者にとっては、このような列車の乗務は楽しみの一つでありましたが、そうでない普通の専務車掌には慣れた定期列車に乗っているほうがいいという方は多く、羨ましがられるようなものでもなかったように思います。
    2014年12月26日 08:14
  • ヒデヨシ

    しなの7号様こんばんは
    共和駅在職中に12系ナコ座を大府駅と共同により大府市内で一般募集したことがあります。
    駅周辺の民家へチラシを持って個別訪問しました。
    国鉄がそんな事をするのか?と大変驚かれた記憶があります。
    この程度でも豪華さや充実の設備が売りでした。
    2014年12月26日 20:54
  • しなの7号

    ヒデヨシ様 こんばんは。
    そういえば、どこの職場でもそういう営業活動して団臨を仕立ててましたねえ。自分は意識改革できなかった人ですので、「プラス10」とかの増収活動への参加はしましたが、団体募集には参加せず。
    個別訪問と言えば「分割民営化反対」の署名活動で団地回りした思い出が…
    「分割民営化ぁ? した方がいいに決まっとるがや!!」なんて言われることもありましたが。
    2014年12月26日 21:38

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