中央西線のうち、新守山~勝川間にある庄内川橋梁から定光寺~古虎渓間にある愛岐トンネル内まで約16.5㎞の区間が愛知県春日井市内を通っています。その区間ではかなりの部分が生活道路と並行し、鉄道用地と道路との境界部分には、JR東海が設置したネットフェンスが設けられています。前回の記事で、春日井市内の中央西線(神領~高蔵寺間)沿線のネットフェンスに取り付けられた犬糞看板の画像を3枚載せました。犬糞が放置されるのは、公園や住宅地に近い農地、堤防など人家が途切れた道路端が多いです。鉄道用地との境界部分も、列車が止まる駅以外なら条件的に犬糞が放置されやすいだろうと想像します。ただ、これまで見た犬糞看板は設置者が「春日井市」になっているものばかりで、犬糞で迷惑を被っているのは鉄道会社ではなく公道を歩く通行人や付近の住民であると思われます。鉄道会社が犬糞に困るかといえば、たとえフェンス内に投げ込まれても困るようなことはないようにも思えます。もし鉄道会社側が犬糞の放置に困っているのであれば、ネットフェンスには鉄道会社名による犬糞看板があるはずです。では春日井市内の中央西線鉄道用地と並行した公道との境界付近にJR東海が設置した犬糞看板があるものか? また、前回記事で載せた3枚の春日井市設置の犬糞看板以外の犬糞看板が設置されているものか? そして鉄道用地付近には犬糞看板以外の環境美化看板や警告看板が掲示されている例はあるのかを現地調査してきました。
<今回の現地調査の基準>
1 範囲は中央西線の庄内川右岸堤防付近から愛岐トンネル入口付近までとする。
2 対象とする看板の設置場所は、JR敷地と公道との境界付近に設置されたものとする。
3 JR敷地と公道との間に私有地等が介在する場合であっても公道から視認できる看板は対象とする。
4 対象とする看板は、JR敷地外に対して環境美化や警告又は注意を促しているものとする。
5 乗客向けの案内表示等、高架下や鉄道用地を利用したテナントや公共駐車場駐輪場の看板及びJR敷地外から見て裏向きとなる看板(JR敷地内の乗客及びJR関係者に対するメッセージを発するもの)は対象としない。
6 公道のJR敷地側に設置された看板だけを対象とする。
名古屋方から順にレポートします。
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◆庄内川右岸堤防~勝川駅
まず庄内川右岸堤防上に、JR東海多治見保線区名の立入禁止看板がありました。
その先、中央西線は下部がコンクリート擁壁になった盛土区間から勝川駅寄りはコンクリート高架橋に変わり、勝川駅までのほぼ全区間の左右両側に公道が並行しています。駅に近い高架下の一部は駐車場や駐輪場などとして利用され、未利用部分は、JRの敷地との境界には侵入防止用のネットフェンスが設置されていますが、この区間で今回の調査基準に該当する看板は見かけませんでした。
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◆勝川駅~春日井駅
この区間の勝川駅寄り3分の1ほどはコンクリート高架橋で、高架化工事中に仮線が敷かれていた線路跡が遊歩道になって高架橋に並行しています。その遊歩道に接して松新東公園があります。この公園付近のJRの敷地と遊歩道との境界付近に犬糞看板が3枚連続して設置されていました。
そのうちの2枚が上の画像に写っています。設置されていたのはM社の「犬のフン(2)」(画像左)が2枚と「犬のフン(1)近似」(画像右・後始末をしよう→持ち帰りましょう)が1枚でした。そのうち、2枚(画像左)は遊歩道の街路灯の柱に取り付けられていましたが、1枚(画像右の「犬のフン(1)」近似)だけが、JR敷地側のネットフェンスに直接取り付けられていました。JR西日本の「無断で看板等を掲示することを禁止する」看板を前回ご覧いただいたのですが、やはりJR施設に自治体名による看板を設置した例はあるようです。なお、松新東公園内には他にも犬糞看板がありましたが、現地調査の基準の「6」に該当するので省略します。
この先、線路は高架橋から低い盛土区間を経て地平区間になります。
蛇がよく出没するのでしょうか。そういえば、心当たりがあります。かつて「【808】変な忘れ物」で使用したヘビの画像は、この近くで撮影したものでした。
住宅地が続き、家庭ごみの集積場が複数ありました。
春日井市や春日井警察署の名前入りのゴミに関する看板がいくつもありました。この先の調査区間全般にわたって、まったく同じような看板がいくつも見られました。(この先の同じ看板の撮影は省略しました。)
住宅密集地ではゴミ集積場所は住宅側でなく道路を挟んだ反対側にある線路端に指定されがちというのは、納得できることです。ゴミ関係の看板のほとんどは支柱をつけてあり、上の画像の下側の例のようにJRのネットフェンスに直接看板を取り付けてある例はわずかでした。
また犬糞看板(左)が1つありましたが、ネットフェンスではなく消火栓看板の支柱に括り付けてあります。右はJRが掲出した看板で、掲示内容が穴埋め問題のようになっています。これと同じ看板には、このあともいくつか遭遇しました(この先の同じ看板の撮影は省略)が、そのすべてが穴埋め問題になっていて正解はわかりませんでした。設置場所がフェンスの切れ目とか施錠された通路の出入口だったので、立入りを禁止する内容だろうという想像はつきますが、庄内川堤防にあった立入禁止看板とは内容が異なっています。
この看板ーーJR東海社有地につき○○〇します 東海旅客鉄道多治見(株)多治見保線区長
庄内川堤防ー会社用地につき立入を禁止します JR東海多治見保線区長
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◆春日井駅~神領駅
この区間で「現地調査の基準」内での犬糞看板はありませんでした。
そのかわり、またヘビ注意看板がありました。上の画像の左上のヘビ看板は線路からやや離れていますが、写っている空き地は中央西線と、軍用線廃線跡にできた道路との間に挟まれた空き地で、国鉄瀬戸線が予定どおりに完成すれば、その線路用地になったと思われます。上の画像の右上はJRが設けた踏切用の看板です。他の踏切にも同型のものがありました(この先の同じ看板の撮影は省略)。上の画像の下は、神領車両区の名古屋方の国鉄瀬戸線用地部分で行われているリニア中央新幹線の非常口工事の看板です。
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◆神領駅~高蔵寺駅
この区間のうち、わずか300mくらいの間の線路端に犬糞看板が3種類7枚が集中して掲示されていました。前回の記事で使った画像は、このうちの2つです。場所は電車の塗装を模したトイレがある足振公園と大垣戸公園との間でした。
その7枚とは、左のM社「犬のフン(1)近似」1枚・中央の同社「犬と少年(2)」4枚・右の製作者不明(個人的名称「食べるよ~」)2枚で、その7枚のうち支柱付きで自立しているのは2枚だけで、5枚はJRのフェンスに直接取り付けられていました。このあたりは近年まで田畑が多く残っており、今でも田畑が点在するため、犬の散歩コースになっていたのかもしれません。その田畑も近年は少しずつ宅地化が進みつつあり、支柱付きで自立していた2枚の看板のうちの1枚が、畑地の駐車場化に伴って、撮影後、支柱ごと撤去されたのを確認しています。
その付近から高蔵寺駅方向に向かうと犬糞看板以外の看板がありました。左は「防犯力」って何???って・・・「防犯カメラ」の「カ」でした。
中央はJR東海設置の手書き「下さい看板」です。フェンス内に捨てられた犬糞は土に還るのでしょうけれど、空き缶・ペットボトルなどのゴミは、フェンスの内側にそのまま残ってしまうので困るのでしょう。
右は「飛び出し坊や」です。後ろのフェンスに前出の「犬のフン(1)近似」の裏側が写り込んでいます。
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◆高蔵寺~定光寺~愛岐トンネル入口
変電設備がある建屋を囲むネットフェンスに「危険/高電圧」・「立入禁止」の看板がありました。
高蔵寺から愛知環状鉄道が分岐しています。この先は少しの間、中央西線の南側を愛知環状鉄道の敷地が並行していますので、愛知環状鉄道が設置した看板が現れます。ネットフェンスではなく昔ながらの柵が設置されています。柵の内側にスイセンらしい花が見えますが、だれが植えたのでしょうか?。。。
↑↓上下の画像とも、右下に「工」マークの境界標があり、もともと旧国鉄用地(国鉄瀬戸線用地)であったことを無言のうちに教えてくれています。
上の2枚はJR中央西線に並行した愛知環状鉄道の高架下で、画面奥の線路は中央西線です。看板は2枚とも愛知環状鉄道名の「下さい看板」で、ここにも「工」マークの境界標が写り込んでいます。
愛知環状鉄道が分岐していくあたりで市街地は途切れ、中央西線の線路は山林や農地に沿うようになります。公道に接している部分は少なくなり、それにつれてフェンスがない場所も目立ってきます。
「電車に注意」かと思って撮影してから、「電線に注意」であることに気が付きました。そばに変電所と送電線があり、中部電力名になっていましたので、JRが設置した看板ではないようです。
フェンスが少なくなると物理的に線路内に侵入しやすくなるからか、立入禁止看板が目立つようになりました。上の「会社用地につき立入を禁止します JR東海」の看板は庄内川堤防にあった看板と同じもののようですが、「JR東海」の後の「多治見保線区長」の部分が白塗りで消されていました。(画像を修正したわけではありません。)消した意図は不明です。
ゴミの投棄禁止看板も、市街地にあった「周囲の人は見ています」というような内容ではなくなっています。「周囲に見ている人がいない」人目につきにくい場所ばかりで、看板に書かれた内容からすると自動車で大量に投棄されることがあるのでしょう。
(こちらの電話番号は画像にモザイク処理をかけています。)
渓谷に位置する定光寺駅に近づくと、下方に並行する公道から線路までには高低差が出てきます。物理的に鉄道用地への侵入やゴミや犬糞の投棄ができませんから看板の類は見当たりません。旧線跡の橋台に「けたに注意」の看板。上には道路標識が直付けされていました。画像奥のコンクリート橋は現在の中央西線のもので、この旧線跡は保守用道路として利用されています。
線路は定光寺駅を出てそのまま長い愛岐トンネルに入ってしまうので、これにて春日井市内の中央西線沿線における看板調査は終了ということになります。
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春日井市内では線路と公道が並行する部分がかなりありますが、意外にも看板類は少ない印象でした。その看板もほとんどが公道側の敷地に支柱を設けて設置されており、JRのフェンスに第三者が直接取り付けた看板類はごくわずかの区間に集中していただけのこととわかりました。JR側で設置した看板には踏切関連、高さ制限、立入禁止、ゴミ投棄禁止看板とがありました。犬糞看板は2か所に集中し、どちらも公園に近い場所でした。並行する道路のJR敷地側がゴミ集積場になり、ゴミ関係の看板が設置されている箇所を多く見かけました。街中なのにヘビ注意看板が2か所もあったのは意外でした。
今回の調査?は、駅の周辺や駅の中のように、乗客としては目に触れることがない部分の探索でもありました。私は列車に乗って車窓を眺めるのが好きですが、逆の視点から鉄道を眺めると、列車に乗っていてはわからないことが、いくらでもありそうでした。
この記事へのコメント
中央西線
https://www.youtube.com/watch?v=uJVGyCutacc
しなの7号
拝見しました。これが日常だったわけですから、今では信じられない思いがしますが、扉や窓、煙のことなど記憶には確かに残っています。
重箱の隅で恐縮ですが、その「古虎渓~定光寺」とテロップがある映像について。
トンネル左に「2」と読めることと、岩盤むき出しの特徴から、撮影場所は2号トンネル(玉野第2隧道)の名古屋方(東海自然歩道と交差するところ)と考えられ、「古虎渓~定光寺」ではなく「定光寺~高蔵寺」間が正当ではないかと思います。そういうことならば、乗り慣れた乗客は「上り列車では定光寺を出れば、この先は短いトンネルが2つ(玉野第2・第1)しかない」と知っていたので、一部の乗客が定光寺で窓を開けたのではないかと自分は想像しました。うちの母は通勤で乗っていたこともあって、トンネル区間のことはよく知っていました。
中央西線
しなの7号
なるほど。その時期に集煙装置ほかの重装備ですから、よそ者のようですね。そう言われてみると、そう見えるような気もしてきます。
中央西線
しなの7号
国鉄全盛期の映画に出てくる列車には、目を奪われるものがありますね。先日「喜劇急行列車」など東映列車シリーズ3本をBSで録画しましたが、観る暇がなかなかありません。