毎月、その月に因んだ楽曲を1曲ずつ選んで語っています。選曲にあたっては個人的な志向や趣味に偏ります。昭和の時代に発表された曲が多くなると思いますが、必ずしも昭和のヒット曲とも限りません。なお、私は音楽や詩の世界にはまったく通じていませんので、作詞者が描いた世界とは外れたことを語ることもあると思いますがご容赦願います。楽曲や作詞作曲者歌手について知らないことやデータなどはWikipediaとCD等のライナーノーツを参考にします。
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11月の歌は、山口百恵さんが歌う「秋桜(コスモス)」としました。
秋桜(コスモス)
作詞:さだまさし
作曲:さだまさし
編曲:萩田光雄
淡紅の秋桜が秋の日の
何気ない陽溜まりに揺れている
此頃 涙脆くなった母が
庭先でひとつ咳をする
縁側でアルバムを開いては
私の幼い日の思い出を
何度も同じ話くりかえす
ひとりごとみたいに 小さな声で
こんな小春日和の穏やかな日は
あなたの優しさが浸みて来る
明日の嫁ぐ私に 苦労はしても
笑い話に時が変えるよ
心配いらないと 笑った
あれこれと思い出をたどったら
いつの日もひとりではなかったと
今更乍ら わがままな私に
唇かんでいます
明日への荷造りに手を借りて
しばらくは楽し気にいたけれど
突然涙こぼし 元気でと
何度も 何度も くりかえす母
ありがとうの言葉をかみしめながら
生きてみます 私なりに
こんな小春日和の穏やかな日は
もう少しあなたの
子供でいさせてください
◆Youtube: https://www.youtube.com/watch?v=tTsl9AI8qlo
コスモスの花期は9~11月ごろですが、歌詞中に「こんな小春日和の穏やかに日は」とあります。小春日和とは「晩秋から初冬の頃の,穏やかで暖かな天気のこと」ですから、11月の歌とするのが適切でしょう。そもそも、Wikipediaによると、『本作は元々「小春日和」というタイトルだったが、曲を聴いたプロデューサーの酒井政利の提案で「秋桜」に変更となった。当初、さだはタイトルの「秋桜」を ”コスモス” と読ませるつもりはなく、本来の和名である ”あきざくら” とするつもりであった(さだは後に短編小説集『解夏』中に「秋桜(あきざくら)」という作品を出す)。本作のヒットにより ”コスモス” というそれまでになかった読み方が広まるようになった。』とされています。その歌詞からはコスモスが咲く小春日和の柔らかな陽があたる縁側に佇む母と娘の情景が浮かび上がります。
母の娘に対する想い、我儘だった自身を振り返り、母への感謝の言葉をかみしめる娘・・・人生の旅立ちを前に母娘双方の心持ちが伝わっています。
作詞者さだまさしさんは「1月の歌」で取り上げた「案山子」の作詞もされています。さださんの作品には、嫁ぐ妹の父を、兄の立場として綴る詞となっている「親父のいちばん長い日」があり、これらも共に暮らしてきた家族がテーマになっています。
「秋桜」は1977年のリリースでした。私はまだ国鉄で荷物列車に乗務していたころで、結婚もしていませんでしたから、家庭を持って子供たちが独立して家を出て行った今になってこの曲を改めて聴くと、テレビで幾度も聴いていたころには持ち合わせていなかった感情が湧き上がってきます。この曲に限ったことではありませんが、昭和の歌は、自身が人生の寄り道をしながら齢を重ねながら歩いてきたからこそ、改めて聴き入ってしまうことが往々にしてあるものだと思います。
◆参考にしたサイト等
Wikipedia:秋桜 (山口百恵の曲)
◆(SeesaaブログではJASRAC管理楽曲の歌詞掲載が可能とされています。)
https://info.seesaa.net/article/409706387.html
https://www.jasrac.or.jp/smt/news/12/1212_1.html
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