【956】 国鉄時代の車内放送
「60がらみのおじいさん」の事例や投書と思われる、よからぬ接客事例が載っていた列車掛養成課程で使ったテキストには、車内放送の注意点なども書いてありました。
テキストは中央鉄道学園で作成されたもので、つまり全国の国鉄の接客業務を行う職員を対象にしているものでした。しかるに国鉄で放送の質にばらつきがあったのは、現業機関での教育が行き届かなかったのか、職員の意識の問題でもあったのでしょう。
(京都鉄道博物館101系モックアップ)
画像の左端にある車内連絡用送受話器が放送用マイクロホンを兼ねていました。送受話器を右手で掴むと、親指の位置にあたる部分に押しボタンスイッチがあって、それを押している間だけ車内連絡用から車内放送用回路に切り替わる仕掛けでした。
そのテキストに書かれていた注意点など内容を少し抜粋してみます。
◆始発駅発車前の車内放送での「おはようございます」のあいさつ放送は9時ごろまでとし、その後の放送は「ご案内いたします」とする。
◆始発駅発車後の案内放送のときは、車掌長の名前(姓名)を明らかにすると、お客様に親しみと安心感を与える。
◆車掌室の所在を放送する。
◆停車駅、到着時刻、列車の編成などの案内放送をするときは「〇〇についてご案内いたします」の例により最初に見出しをつける。
と、いう具合です。この中で、乗務員が放送で「車掌長の名前(姓名)を明らかにすると、お客様に親しみと安心感を与える。」という書き方は、必ず名乗れとは言っていません。事実、昭和50年代の…